「もういい!それじゃ、子供はお前との子で、夫は他の奴にする!!」
ふとオレの頭の中に流れ込むようにして入ってきたその言葉は、オレをへこませるのに十分すぎるものだった。
中編
子供だけオレとのもんで、それを支えていくのがどこの馬の骨かも分からんような男だなんて、考えられないにも程がある。でも、本気でがそうすると言ったらどうしようか。というか、オレがとの子供づくりを拒否したままこの国を発ったら、他の男と子供をつくるかもしれない!はよく、オレ以外の男に興味はないと言うが、万が一、子供を欲しいと願う気持ちがオレを愛しているという気持ちを上回ったら考えられないことでもない。そうなると・・・
「ノブナガっ!」
「うおっ!!?」
突然風呂場のドアが開いた。見るとバスタオルを巻いたが立っている。
「・・・なんだ?どうした?」
まさか・・・一緒に入ろうなんて言わない・・・よな?
「一緒に入ろう!!」
だそうだ。
「ふざけんなお前!今までのしとやかさはどこにいった!?ジャポニーズの美徳は!?今までオレが誘ったことはあっても、自分から言ってくることなかったよなそれ!!?」
「はっはーん。アタシ今までしとやかにふるまった覚えないし!ジャポニーズの美徳とか知ったこっちゃないしね!何?イヤなのか?残念だったなぁ。ここはアタシの家で、アタシの所有物だ!居候の身が大口叩いてんじゃねぇ!!」
普段なら大歓迎なのだが、今、この状況でやってくることが腹立たしい。果たしてオレ
は、この試練を打破できるのだろうか。不安でいっぱいだ。
「・・・ああくそ。好きにしやがれ」
「おう!」
そう言って、効果音がつきそうなほどに勢いよく、巻いていたバスタオルを剥ぎ取って、
が浴室に入ってくる。オレの妄想だろうか。下半身と胸元を隠しながら歩み寄り、床
に膝を着いて桶でお湯をかけるの姿が酷く色っぽく見える。まるでスローモーション
でもかかったかのように・・・。って見るなオレ!惑わされるな!BUSHIDOを貫け!!
オレがもんもんと思考をめぐらせている間に彼女は髪、体を洗ってしまったらしい。浴槽に入りたいと言ってきた。ここからが本当の戦いだ。ある程度広さのある浴槽だが、身長180センチ弱のオレと、160強のが二人広々と大の字になれるほどの大きさではない。確実に体は触れる。そこでがどのスペースにどんな体勢で、オレと向き合って入るのかそれとも背を向けて入るのか予想しながらも、オレはただ水面を睨みつけるだけだった。入浴だけでこんなに頭を使ったのは初めてだ。
「なあ、ノブナガ?そう顔しかめんなよ。かなり険しいよ?」
お前は人の気も知らずに!文句を言おうと水面に張り付いていた己の視線を引っ剥がし顔を上げると、そこにあったのはの豊満な胸。
「い・・・悪かったな。いいから、早く全部付かれ!」
あせったオレは無理矢理の肩を沈め、そっぽを向いた。ん?待てよ?・・・よく考えろ。何もここまで抑える必要はないんじゃないか?用は挿入さえしなければ、どれだけいじくり倒しても・・・。ダメだ!そんなことしてたら無意識のうちに挿れてる!!ダメだダメだ!オレの下心!煩悩!消え去れ!死ねぃ!!
「なあ、どーしたんだよさっきから。そんなにそっぽ向かれると何か傷つくんだけど」
「お前こそどーしたんだよ?イヤにエロくねぇか?」
「それはノブナガの頭の中がエロいからそう思っちゃうだけだと思うぞ?」
「むッ・・・」
確かにそうかもしれないが、でも大本はこれだ。さっきのの「一緒にお風呂入ろう」発言と、この現状。明らかに作意にまみれている。それはしとやかさに満ち満ちているいつものとは違う。
「なあ、ノブナガ」
そろり、とオレの太もものあたりにの手のひらが乗る。そして右手はオレの左肩に。各部位に徐々にの体重がかかっていき、ナミはオレの上に乗ってきた。この状況がわかるだろうか。お互いの秘部が当たるかあたらないか、そんなきわどい体位だ。もう、これは誘っているとしか考えられない。・・・堪えろ!自分!
「めずらしいこともあるんだな。普段のノブナガなら、絶対に襲ってくるようなシチュエーションなのにさ」
「うるせぇ。そーゆーお前こそ何だ?えらく積極的じゃねーか。襲われてぇのか?」
「うん」
「・・・ちょっとは躊躇え」
オレだって襲いたいさ!ああそうとも!オレはお前を襲いたい。でもダメ・・・・・・
体外射精??それなら大丈夫か!?ああ!その手があった!ってダメだ!万が一ってこと
もあるだろーが!受精卵ができるのはものすげー確立低いらしいが、万が一ってこともあ
る。先走りしちまったら危ないだろ!?
「ひぁっ・・・」
とめどなくあふれ出るオレの性欲と戦い葛藤している中、が突然、やってる最中
に発するようなエロい声を出した。おいちょっと待て!オレは何もやってねぇぞ!?
「ノブナガ・・・すごい勃ってる・・・アタシのとこに、あたってる・・・」
そりゃ勃つもんも勃つわ!お前が全裸でオレに馬乗りになってりゃ普段なら押し倒して
突っ込んでイッてる状況なのに、それを今オレは堪えてるんだぞ!?堪えてるって言って
も、オレの下の息子はいきり立ってるようだが流石のオレもそこまで制御できねぇ!!
何てことは言えない。
「。お前、オレのこといじめてそんなに楽しいのか?」
「うん。楽しいよ。形勢逆転だなっ!」
楽しそうで何よりだなコラあ!だがしかし、もう無理だ。理性が持たない。
「後悔しても遅いからな」
「大丈夫。後悔なんて私たちの間ではその意味すら成せないわ」
そうして俺たちはその日の2R目を風呂場で迎えたのだった。