アパートか一戸建てか。どちらにせよ、部屋数は多いに越したことはない。何せ好きでも何でもない女と一緒に住むのだから、寝室は二つ必要だし、書斎だって欲しい。ひとつひとつの個室は狭くてもいいが、共用スペースだけは広くなくちゃいけない。
そんな条件に当てはまるアパートの一室など限られているだろうと思い至り、結局メローネは一戸建てを借りることにした。そして不動産仲介業者を訪ね、どこを新居とすべきかひとりで探し回った。結果、と同居するために借りる家をどこにするか、メローネは独断を下した。
道の隅に散乱するゴミ。行政サービスなどまるで行き届いていない、スリ、強盗、ホームレス、売春婦が行き交う、寂れた通りに位置する古びた一戸建て。外装などほとんどメンテナンスされていない。とは言っても、ここナポリではありふれた光景だ。
が今どこからアジトまで通っているかなど知らないメローネだったが、彼女も金を持っている訳ではない。周辺の環境はここと大して変わらないだろうし、居住空間は広くなるはずだ。だから文句はないだろう。
メローネの思惑通り、間取りや外観を資料として見せられたは何の文句も言わなかった。それから一週間が経った頃、スーツケースに荷物を詰め込んだが新居を訪れた。
なだらかな石畳の坂に面したその家は確かに古いが、幽霊でも出てきそうなほどオンボロという訳ではない。窓ガラスも割れていないし、ツタの侵攻を許して一面緑で覆われているわけでもない。内装がどうかはまだ分からないが、家が古くてもリフォームの楽しみが生まれて逆に良い。
はとことんプラス思考だった。メローネとこれから先ひとつ屋根の下で毎日一緒にいられるのだから嬉しくない訳がなく、彼女が期待に胸を膨らませているのは至極当然とも言えた。
軋みを上げる木製の玄関のドア。薄暗い幅二メートルほどの狭い廊下。突き当りに窓があって、左に折れた先から二階にむかって階段が伸びている。左手の壁には扉が二つ。はひとまず手前の扉を開けて中を確認することにした。
そこそこに広いリビングだ。家具は処分するのが面倒だったのか、以前住んでいた者が使っていたであろうソファーや本棚なんかがそのままにされていた。周囲を見回して、はひとつ溜息を吐いた。とりあえず今日やることは、窓という窓を全て開け放った後に掃除だ。ひどくほこりっぽい。
はスーツケースを部屋の角に置いた。そして掃除用具を買い揃えるために財布を取って街へ繰り出した。
メローネは今夜越して来ると言っていた。それまでに一通り掃除を済ませて、簡単に夜ご飯でも用意しよう。以前使っていた冷蔵庫が届くのは明日だから、食材は買い込めないが。
これまでは、メローネとふたりきりで夕食を共にしたことは無かった。だから彼の味の好みがどうとか、好きな食べ物が何なのかといったことを全く知らないのだが、それはこれから探り探り把握していけばいいことだと考えた。
買い物を済ませたは、手始めに供用スペースから掃除を始めた。掃除機が届くのもまだ先なので、床上のゴミやホコリはどうにもできないが、家具を使える状態にまで持っていくくらいのことはできた。そして掃除の合間に、電気、水道、ガスの業者が家を訪れてきて、それぞれを使える状態にして帰っていった。あとは前の住まいで使用していた大型の家具や家電の類が届くのを待つだけ、となったタイミングで夕飯の支度を始めた。
は雑誌を片手にリビングのソファーで微睡んでいた。ふと時間が気になって、先程スーツケースから取り出し本棚の上に設置した置き時計を見やる。夜九時を過ぎている。メローネはまだ来ていない。は溜息を吐いて、ダイニングテーブルの上に用意した夕食に視線を移す。メローネのためにと思って取っておいたパスタ。もうすっかり固くなってしまっていることだろう。
……何勝手に舞い上がってたんだか。
寝室は二つ。要は、私はメローネにとってただの同居人ということだ。愛し合う男女間で家を借りるなら、寝室はひとつで事足りる。何なら一戸建てなんかじゃなく、アパートの一室でもいいはずだ。
供用部分とそうでないところはしっかりと分けておきたい。そしてパーソナルスペースは十分に確保したい。そういうメローネの魂胆をは知っていた。
ひとりでせっせと掃除をしている間、メローネとの幸せな同棲生活を夢見ていた時は幸せだった。引っ越しとは無条件に気分が高揚するものだ。だが、夢は夢に過ぎない。冷めたパスタに現実を突きつけられた気分だった。冷めて固くなったパスタなんて、喜んで食べてくれるわけが無い。彼が眉をひそめてパスタを一瞥する姿が目に浮かんだ。
用意した夕食を処分するなり上手い保存方法を模索するなりしようと、がソファーから立ち上がったそのとき、リビングのドアが軋みを上げた。
「……メローネ」
の胸が高鳴った。さっきまで憂鬱な気分に浸っていたというのに、彼の姿をひと目見ただけでまた心が浮き立った。
「どうだ?新居は気に入ったか?」
メローネは大きなボストンバッグを床に下ろしながら、そんな挨拶をした。特段答えなど求めていそうにもなかったが、はこくりと頷いてうん、と小さく声を上げた。
「それ、作ったのか?」
荷物を置いた後、おもむろにダイニングテーブルと近寄るメローネがの目の前を横切った。
「え、ええ」
「もらってもいいかな。腹が減ってるんだ」
「……もちろん。あなたのために取っておいたの。あ、でも、もう冷えて固くなっちゃってるから、温めなおすわ」
メローネの意外な発言に驚きながらも、は再びキッチンに立った。メローネはそんな彼女の姿を眺めつつ、ダイニングテーブルについた。そして通りに面した窓の外を見やった。
は手元で調理をすすめながらカウンターキッチン越しに見えるメローネの横顔を見つめた。驚くほど長いまつ毛が瞬きに合わせて動いている。目蓋は重いと悲鳴を上げないのだろうか。細く長い鼻筋は美しい峰を描いていて、唇は男性の一般的なそれより少しだけぽってりと厚かった。ミケランジェロの彫刻の様に美しい。にとってはそれ以上だ。知らず知らずの内に感嘆の溜息が漏れる。そうやってうっとりしている内に、何となしにの方へと顔を向けたメローネと目が合った。早鐘を打つように胸が鳴り出して、は顔を真っ赤にして咄嗟にうつむいた。
メローネは分かりやすすぎるの表情を見て、片側の口角を吊り上げた。そして心の内でかぶりを振った。清純ぶるのもたいがいにしろ。見てるこっちまで恥ずかしくなっちまう。
は温めなおしたパスタを再度皿に盛って、メローネに差し出した。
「何か飲む?」
「いや、いい。それより、話があるんだ。座れよ」
メローネはその鋭利な顎先で向かいの席を指した。は言われるがまま椅子に腰を下ろす。テーブルは小さい。目と鼻の先と言っていいほどの距離に、先程までうっとりと見つめていた美男の顔がある。直視できず、は視線を揺蕩わせた。
一体何を話すのだろう。キッチンの使い方?掃除の当番?家賃の折半について?そりゃ、同棲初日なのだから、話すことは何かしらあるだろうけれど。
「今度から、食事の準備なんかしなくていい」
が準備したパスタをすすりながら、メローネは言い放った。
「不味いって言ってる訳じゃあないんだ。別に君はオレの嫁じゃないんだから、そんなことする必要は無いって言ってるんだぜ。……そうだな、感覚としては、一人暮らしをこの家でふたりでしてるって感じだ。自分のことは自分でやる。供用スペースは気になった時に、互いにちょこちょこ掃除するくらいで構わないと考えてる。生活態度についてあれをやれ、これをやれとお互いに強要はしない。我慢ならないことがあるなら、都度話し合おう」
かなり民主的な思想だ。ポジティヴに考えるとそう思えた。だが逆に言えるのは、やはりふたりの関係は同居人止まりということだ。は思い上がった考えでいると惨めな気分になるだけなのだと自分に言い聞かせた。
そして次に発せられた言葉で、メローネに個人の――の自由や平等を尊重する意思など微塵も無いということを思い知らされる。
「家賃や光熱費の類は全額オレが支払う。その代わり君は、オレの言うことを何でも聞くんだ」
「……え?」
さっき、互いのことについてあれをやれ、これをやれと強要しないと言ったばかりじゃないか。は至極当然とも言える疑問を抱くのだが、衝撃の方が大きくて口を開けずにいた。
「オレがああしろこうしろと言わないと言ったのは、生活態度についてだけだよ、。生活態度ってのはさ、例えば電気を点けっぱなしにするとか、水を流しっぱなしで食器や顔を洗うとか、使ったものを仕舞わずに出しっぱなしにするとか……そういうことについて、お互いに口煩く言わないってことだ。それ以外のことについては基本的にオレが言った通りにしてほしい。大丈夫。死ね、なんて言ったりはしないから」
民主的?前言撤回。生活は支えてやるから、言いなりになれというのだ。
は、メローネが微笑みを浮かべながらひどく封建的な要求をしていると分かってはいる。さらに、彼の言う"命令"の内容が少しも想像できない。だから何故メローネが自分と同居しようと思い至ったのかという、そもそもの疑問に立ち戻るべきなのだろうということも理解していた。
だが、そこに言及して理解できないとしつこく食い下がると、メローネは気を悪くして、もう一緒に住む話はナシにしようと言い出すんじゃないだろうか。
の思考は既にメローネを中心に回っていた。彼女は完全に、彼を思う気持ちに支配されている。だから彼女は頷くしかなかったのだ。
「……わかった」
「嬉しいよ。。君は今日からオレの物だ」
恋は盲目と言うが、ここまで来ると流石に不憫だな。
メローネはまるで他人事のようにそう思った。彼の言う"オレの物"という言葉がそのままズバリ、を人として扱う意思がないことを示しているのだが、彼女にそこまで配慮する余力はない。
メローネにとって女とは、どこまでいっても――仕事でもプライベートでも――目的を達成するための道具でしか無いのである。
02:報われない恋心に現実を
「つーか、何で突然一人暮らしなんか始めたんだよ。おめーそんなに金持ってんのか?」
「バイクはさ、車より維持費が少なくて済むんだぜ。知ってたか?いくら日本車とは言え、バイクの燃費の良さには勝てない」
夜七時。ギアッチョはメローネに誘われて、今までアジトに居候していた彼が借りたという家へ向かっていた。
相変わらず癇に障る物言いだし、質問には全て答えていないし、答えても何も問題無さそうな簡単な質問もはぐらかすような身のない返事しかしない彼を苛立たし気に睨みつけ、口をへの字に曲げるギアッチョ。だがギアッチョは声を荒げて怒り散らすことはしなかった。
常人にとって、かなりキレやすいギアッチョとまともに会話をするのは困難だ。わざわざ彼の怒りの炎を煽るような発言をすすんでしようものなら氷漬けは免れない。メローネがそうならないのは、ある程度信頼関係を築き上げた間柄だからこそのシード権のようなものがギアッチョによって与えられているからだ。さらに言えば、気づけば好き勝手に喋り散らかしているメローネの横柄だったりみだりがわしかったりする発言にいちいち反応していては神経をすり減らすだけだと、コンビを組まされ始めてから早い内に気づいたギアッチョは見事なアンガーマネジメントの手法を身につけていた。
そんな彼自身の人間的な成長を促すメローネはやはり教育という点において秀でているのかもしれない。それは言い過ぎかもしれないが、とにかく、ギアッチョはメローネと行動を共にするのは嫌いではなかった。彼といると基本的には心安らかだったし、彼は案外気が利いて賢く仕事もできる。尊敬や信頼という、恐らくリゾットを除いて他には抱けないであろう念をメローネには抱いているのだ。
「かっこつけてハイオクとか入れるのはやめたらどうだ。ディ・モールト金の無駄だと思う」
「っるっせーなァそこは譲れねーんだよ!!」
とは言っても、メローネの偉そうな発言も度が過ぎれば声を荒げるくらいはするギアッチョだった。
そうこうしている間に目的地に着いたようだ。着いてすぐギアッチョが不審に思ったのは、一戸建てという点だった。確かにメローネは「家を借りた」と言ったが、それが本当にまるまる一戸の家を借りたという意味だとは思わなかった。てっきりアパートの一室だと思いこんでいたのだ。
「一戸建てかよ……。なんだぁ?女でも囲ってんのかよ」
ギアッチョに背を向けて扉の前に立ち鍵を開けながら、メローネはにやりと笑った。そして心の内で呟く。ご名答!
「騒いで文句を言うやつもいない。自分の家だと思ってくつろいでくれて構わないぞ」
「おい、はぐらかすんじゃあねーよ。ひとりで住んでんのか?他に知らないヤツが住んでんならくつろごうにもくつろげねーんだよ」
「女だよ。オレの仕事が何かくらいは知ってるから気にしなくていい」
腑に落ちない様子だったがそれ以上追求するのも面倒だったので、ギアッチョは大人しく、通されたリビングルームのソファーにどかっと腰をおろした。
「酒は飲むだろ?」
「当たり前だろ。つーかこっちはほとんどお前の金で飲みに来たつもりでいるんだ」
「りょーかい。なら、簡単につまみでも用意するから待っててくれ」
メローネは料理も上手い。だからふたりで飲もうという話になったときに、わざわざ外に食べに行くことはほとんどしなかった。ナポリのレストランやバーはパッショーネへのショバ代を毎月支払うためか、価格設定が割高なのだ。パッショーネの暗殺者チームに属しているからと割引してもらえる訳ではない。むしろオーナー達はここぞとばかりに高値をふっかけたい気分でいることだろう。
レストランに行くにしても金が惜しいし、自分で作るなんて面倒はごめんだ。加えて手料理を振る舞ってくれるガールフレンドだって自分にはいない。料理ができるメローネに女ができて自分にできないのは不平等だ。
話し相手がいなくなり手持無沙汰になったギアッチョは、ソファーの向かいに設置されたテレビのリモコンを手に取り電源スイッチを押した。大して面白そうな番組をやっているわけでもなかったが、BGM代わりにはなるだろうと適当なバラエティ番組にチャンネルを合わせてリモコンを放り投げた。
それにしても、メローネと同居するなんて物好きにも程がある。
ギアッチョはやはりそわそわして落ち着けなかった。基本的に人間が嫌いなのだ。見ず知らずの女が突然リビングに入ってきたら、なんて挨拶をすればいいかと考えるのも面倒だ。
相手が男なら何と思われようがどうでも良かった。だが、女となると話は別だ。いくら時、場所、場合を弁えずすぐにぶちギレまくるギアッチョと言えどもやはり女性の目は気にするし、女にどう思われるかは気にはなった。リビングの入口からは、奥まった場所にあるキッチンに立つメローネの姿は見えない。帰ってきてリビングへ入るなり見知らぬ男がソファーでふんぞり返っているのを見たら悲鳴でも上げられてしまうんじゃないか。そんなのは面倒だしごめんだ。
早くメシを持ってこいと催促するように、ギアッチョは声を上げた。
「お前の女ってのはいつ帰ってくんだよ」
「……さあな。その内ひょっこり顔を出すんじゃあないか?」
こんなに治安の悪い街の夜道をひとりで歩かせるのか。女のことを心配する様子などすこしも見せないメローネの態度に違和感を抱きながら、またまともな答えを得られなかったとギアッチョが顔をしかめていると、香ばしい香りが彼の鼻腔をくすぐった。ソファーの前のローテーブルに、いつものブルスケッタと赤ワインが乗せられる。
「もう少しかかる」
そう言い残して、またメローネはキッチンへと戻っていった。
新居で生活を始めて一週間が経った。とは言え、まだまだ足りないと思う物はたくさんあった。ヒビが入った壁を塗り直すなり壁紙を貼るなりしたかったし、可能な限りで一通りのインテリアも揃え自室くらいは可愛らしくコーディネートしておきたい。
メローネの独裁的な要求を呑んだには、心身の自由はさておき、自由に使える金が以前よりもかなり増えていた。街へ出ていた彼女は時間も食欲も忘れてあれもこれもと手に取って買い物を楽しんだ。軽くなった財布と大量のショッパーを携えた彼女が家に着いたのは夜の十時頃だった。
暗い夜道の石畳を照らす、家のリビングから漏れる明かりが目にとまった。メローネがこんな時間にリビングにいるなんて珍しい。珍しいと言えるほどの時間を彼と共にした訳ではないが、一週間というひとつの単位は過ぎていたし、ある程度生活パターンを掴めるくらいの情報量はあった。
彼はダイニングテーブルで夕食を済ませるなりリビングでくつろぐことすらせず、真っ先に自室に向かう。平日だろうと休日だろうとそれは変わらない。だからこんな時間にリビングの照明が点いているのはイレギュラーなのだ。
彼は自分のことなど大して気にも留めていないだろうが、と卑下するは、彼は今何をしているのだろうとよく考えた。寝る前の、人肌が恋しくなる時間は特に彼への思いが募っていった。そしてしんとした廊下に響き渡る音に耳を澄ました。同じ家に住んでいるというのに、変な話だ。
はショッパーを掻き分け、ショルダーバッグから鍵を取り出して扉を開けた。ひとまず荷物だけ階段の傍に下ろして、何か少しだけ胃に入れておこうとリビングへ向かった。そこにメローネがいると思うとやはり胸が高鳴った。きっと素っ気ない態度を取られるだけだろうが、それでもいい。ただ、彼を傍で少しの間だけでも眺めることができるのならばそれで――。
「……ギアッチョ?」
リビングの扉を開けたの目に真っ先に飛び込んできたのは、雪の様に白い肌を真っ赤に染め上げて、ソファーの座面を全身で埋めるギアッチョの姿だった。酔っぱらっているのか、荒々しく寝息を立てている。
「お帰り。」
そしてキッチンから姿を現したメローネがを出迎える。
「ふたりで飲んでたんだ。……私も少しもらおうかな」
ローテーブルの上にはワイン、ビール、ウイスキーにラムと、ありったけの酒瓶が並べられていて、それらを注いだ痕跡のある様々な種類のグラスがそのままにされていた。
ほとんど飲食せずに買い物に没頭していた所為か、喉が渇いていた。はギアッチョを起こさないようにとテーブルに忍び寄り、空いたワイングラスに赤を注いだ。グラスを手に取って一口飲み下し、そのままキッチンへ向かって歩いて行った。
キッチンカウンターには、大小さまざまな皿に二、三種類の料理が乗せられていた。メローネのお手製だろう。
「ねえメローネ。これ、少しもらってもいい?お腹が空い――」
がメローネがいるであろう方向に視線を向けると、彼はの目前に迫っていた。
「っ……どう、したの?」
「なあ」
メローネはさらにとの距離を詰め、彼女の背中をシンクの縁へと押しやった。彼女の退路を断つように両手をつき、鼻先が触れ合う程の距離で彼は囁いた。
「寝てる同僚の傍で男に犯されるのって、どんな気分だろうな?」