ラップトップをリビングに持ち込んだチョコラータは頭を抱えていた。そして誰もいないリビングで独り言つ。
「メールが返ってこねェ」
を殺し損ねた日の翌朝、八時を少し回った頃のことだった。今日はクリスマス・イヴ。流石のギャングも常人と同じように、今日から年始にかけて一週間以上は仕事を休むのかもしれない。訳の分からない仕事を振りやがってと恨み言を多分に匂わせた内容のメールを、チョコラータは昨晩のうちにボスの親衛隊――スクアーロとティッツァーノという妙に仲が良いコンビだ――に送り付けていた。だが未だに返事は返ってきていない。
チョコラータはブラウザの更新ボタンを際限なくクリックし続けていた。そんなことをしても無駄だということは百も承知だったが、この如何ともしがたい苛立ちをマウスにぶつけずにはいられなかった。
家は広い。別に目を合わせずとも、を長らく使っていないホコリまみれの部屋に追いやって軟禁するくらいは容易にできる。だが容易には“永遠に”殺せない女を殺せと命じられている彼は、・という女を意識せずにはいられなかった。死を前にして絶望に歪む顔を一切見せないどころか、むしろ嬉々として殺せと懇願してくる、すこぶる気に食わない女と住環境を共にしているということが我慢ならなかった。
女が不死身だなんて聞いてない。どうやって殺せと?
そんな問いに対する答えを彼が得られるのは、早くても年明けになるだろう。それまで訳も分からないままあのとかいう女と一緒にいなければならない。匙を投げたチョコラータにとってはそれがストレスでしかなかった。
「チョコラータ先生、おはよう!」
珍しくグロッキーな表情を浮かべるチョコラータとは対照に、はすこぶる機嫌がよさそうだ。
普通殺すために連れ去られた女なら、家に返せ、開放しろと涙ながらに訴えてくるはずだ。だがはそんな様子など一切見せない。彼女は今拘束などされていない。逃げようと思えば簡単に逃げられる状態にある。だというのに、家に帰りたいなどとは微塵も思っていないのか、屈託のない笑顔をチョコラータに向けていた。チョコラータは彼女のそんな表情を見て、心底面倒くさそうに眉根を寄せて吐息を漏らす。
「……おい。私がいつ、部屋から出ていいと言った?」
二階には六つもの個室があった。チョコラータの部屋は、日当たりのいいテラス付の大部屋だ。テラスからは木々の狭間から海が見えた。彼は小高い丘の上に建つこの館の自室から見える景色を気に入っていた。彼は高いところと高さが認識できる場所が好きだった。対するセッコは狭い暗がりを好んだので、チョコラータの部屋の向かいにある小部屋を自室としていた。そして昨晩、彼が部屋をうろちょろされると目障りだとを押し込んだのは、ふたりの部屋から一番遠く離れた角部屋だった。彼がこの家を購入してすぐの頃、どこを自室にしようかと家の中を歩き回って扉を開け中を見回した時、景色がよくないし日当たりも悪いと早々に自室とすることを諦めたきり、これまで一度も扉に触れることすらなかった部屋だ。家具付きで購入したので、ベッド、ナイトテーブル、チェストやドレッサーなど、寝室に必要と思われる家具は一通り揃っていたが、窓を開け放ち換気をしたことなど一度もない。
チョコラータはそんな部屋にを押し込むことを少しも躊躇わなかった。扉を荒々しく閉じた後、彼は久方ぶりに感じた精神的疲労に頭を抱えながら自室に戻った。
そうして迎えた朝、ニコニコと場違いな笑顔を自分に向けてくるを見て彼は後悔した。
扉に板でも打ち付けて出てこられないようにしておくんだったな。
だが彼女を殺せとボスに命じられている手前、彼女との付き合いは続く。三か月間部屋に監禁したままで餓死なりなんなりで死んでくれるならいいのだが、彼女は恐らく生き返るだろう。殺そうとするたびに――彼はそれを望んではいなかったが、仕事なのでそうも言っていられないだろう――釘で扉に貼り付けた板を引き剥がすのも面倒だし、糞尿を部屋にされたまま匂って来るなんてことは絶対に避けたい。逃げる気がさらさらないのなら、手枷足枷など付けるだけ面倒が増えるだけ。食事の世話も下の世話も自分でしてもらうに越したことは無い。これから三カ月間心労は絶えないだろうが、がこの家の中を仕方のないことなのだ。だが殺せと言われているはずなのに何故食事のことだとか糞尿の始末のことだとかを考える羽目になるのか今でも理解できない。
「だってお腹が空いたんだもの。キッチン借りてもいいかしら。先生は何が食べたい?わたし、自分で言うのもなんだけれどお料理は得意なのよ?」
には恐怖心というものも無いのだろう。普通自分を連れ去って寝台に縛り付け、腹を裂いてきた男に笑顔なんて向けない。それどころか、裂いてやった腹が空いたと宣って、キッチンを借りたいと言って来る。あろうことか腹を裂いた張本人にまで朝食を振舞おうとしている。この女は完全に頭がおかしい。どうかしてる。
頭がおかしいというか、頭のネジが緩んだエキセントリックな人間なのはお互い様だ。であるにも関わらず、チョコラータは自分のことを棚に上げて・という女を憎々し気に睨みつけた。
そしてチョコラータは辛抱という言葉を頭の中に思い浮かべた。感情など、考え方ひとつで如何様にも変えられる。だから辛抱するのだ。怒り散らしてストレスを溜めたところで、この女は死んでも生き返るが故に恐怖すら知らない。この神経の図太さにイライラするだけ無駄なことなのだ。ともあれ、その辺をうろつくの存在を何とも思わなくなるまでは時間がかかるだろう。一ヵ月くらいだろうか。
彼は何の根拠も無い数字を思い浮かべて、もう何度目かもわからないため息をついた。
「……何だっていいからさっさとオレの前から消えろ……」
「あら先生。ひどく体調が悪そうだわ。疲れた時には甘いものが一番よね!朝に血糖値を上げるのはいいことでしょう?お砂糖と蜂蜜たっぷりのフレンチトーストにするわ」
「おい。疲れてんのはてめーの所為だぞ」
はチョコラータの言ったことなど意に介さず――というよりも彼女には彼の恨み言が聞こえていなかった――上機嫌でキッチンへと向かった。チョコラータはソファーの背もたれに背を預けようと勢いよく後方めがけて倒れたが、背中の半分までの高さしかない洒落た作りのソファーの所為で背中は軋みを上げた。普段このソファーを使うとき――プロジェクターで前面の白壁に撮り溜めた「人が絶望しながら死にいく様」を映し出して鑑賞するとき――は大抵前のめりになっているものだから、このソファーに背を預けたことなどほとんどなかったのだ。彼は意図せず体を伸ばすことになり、それで少しだけ心地よい気分になった。後ろに反らせた上体を元の位置に戻し、PCの画面を見る。そして更新ボタンを押す。メールは返ってきていない。
「クソが!!何がクリスマスだ仕事しろ!!どいつもこいつもふざけやがって!!!」
明日はクリスマス。そして今夜はクリスマス・イブ。イエス・キリストの降誕祭。イタリアでは二十四日の晩から翌日、翌々日にかけての二日と半日を家族と過ごす。その間、母や妻が準備した料理、父や夫が買いに走った美酒、甘くてほっぺが蕩けてしまうようなパネトーネに皆が舌鼓を打ちながら、親族間での交流を楽しむのだ。子供たちは二十四日の夜だけは夜更かしを許され、二十五日の午前零時にクリスマスツリーの下に山積みにされたプレゼントの包装紙をやぶり散らかす。賑やかで心温まる三日間。
――チョコラータはそんなクリスマスを一度も経験したことは無い。そう言えば以前働いていた病院でも、スタッフ一同この時期が近づくと浮足立った様子だった。皆一様に、少しでも暇ができればやれ休みの間は誰とどう過ごすとか、子供にはどんなプレゼントを用意しただとか、どこそこの店のオードブルが旨いので予約をしておいたとか、“くだらない”無駄話に花を咲かせていた。
猫かぶりに徹していたチョコラータはそんな女性スタッフたちにプライベートを探られたが、「うるせぇぞこのメス豚共が!」と心の中で悪態をつきながらも、田舎で家族と過ごすとか適当なことを言ってはぐらかしていた。浮いた話のひとつも聞けない女性たちは、結婚はまだなのかしら、もしそうなら私が……と勝手に期待で胸を膨らませながら年を越した。チョコラータはそんな女たちを鬱陶しい殺してやりたいと思いながらも、職場のスタッフにだけは手をかけなかった。
そんな過去を思い出しているうちに、が朝食を準備してリビングに戻ってくる。淹れたてのコーヒーの香りがチョコラータの鼻孔を擽った。甘ったるい蜂蜜やバターの香りもする。
「そう言えば、セッコ君はまだ起きてこないの?一応彼の分も準備したんだけれど、彼、食べてくれるかしら」
は大皿に用意したフレンチトーストを一人分、小皿に取り分けてチョコラータに差し出した。暖かいパンの上でバターが蕩け、蜂蜜が皿に滴り落ちる。きっと卵液にも砂糖がふんだんに使われているのだろう。視覚的にも嗅覚的にも甘ったるい朝食であることが分かる。セッコは甘いものが大好きだ。きっとこの朝食も気に入ることだろう。
「食べるだろうな」
戦意を喪失しきっていたチョコラータは、頭に思い浮かんだ言葉をそのまま吐き出した。そしてナイフとフォークで一口サイズにパンを切り、口に運んだ。
――っ!?なんだこれはッ……。
バターのうまみと塩気が効いていて、甘ったるいだろうという見た目と予想ほど甘すぎない。クリーム、ラズベリー、ミント等を添えて見た目を整えてしまえば、一流ホテルの朝食の一品としても出せるんじゃないか。
食にこだわりはない。だが、不味いモノは食いたくない。そんなチョコラータの胃袋を掴んだの朝食。なんの変哲もないただのフレンチトーストだったが、食に拘りの無い偏食家のチョコラータには特別に美味く感じられたらしい。彼は賛辞を述べることはしなかったが、黙って矢継ぎ早に口へと運んでコーヒーの入ったマグカップに口をつけた。少しだけ気が晴れて、ほっと一息つけたような気がした。
「セッコ君呼んでくるわね」
「……ああ」
まるでしょうがなわいわね~と呟きながら朝遅くまで寝ている子供を起こしに行く母親と、一足先に新聞を読みながら朝食を取る父親。そんな家族のワンシーンみたいだな。とチョコラータは思った。
「いやいやいやおいおいおいおいおい」
チョコラータは焦ってソファーから立ち上がり、セッコを呼びに行くと言ったの肩を掴んで引き止めた。
「余計なことをするんじゃあねー!」
「でも早くしないとせっかくのご飯が冷めちゃうわ」
「いいから、セッコは私が呼びに行くから、お前はさっさとメシ食って部屋に戻って掃除でもしてろ!」
「そう?分かったわ!じゃあお言葉に甘えて……」
いただきまーす。そんな元気な声が背後から聞こえてくる。チョコラータは一体自分は何をやっているんだと頭を抱えながら、セッコを起こすべく二階へと伸びる階段のステップに足を乗せた。
「いやそもそもセッコを起こさなくてもいいよな」
階段の一段目に足を乗せたまま立ち止まり、チョコラータは独り言つ。だが、このままあの忌々しい女と一緒にいるよりは、セッコを呼びに行っている間に飯を食い終わってもらい、先ほど彼女に怒鳴ったように掃除のために部屋に戻ってもらった方がいい。そうすれば顔も合わせずに済むだろう。
セッコは自分で料理はできないが、チョコラータが用意した料理を冷蔵庫から取り出して腹の空いた時に自分で食べて食器を洗うくらいはできた――と言うよりも、そうするようにチョコラータが彼を躾けていた――。食事は決まった時間に取るというわけでもなく、朝決まった時間に起きてくるわけでも、チョコラータが起こしにいかなければならないわけでも無かった。なので今からしようとしていることはイレギュラー中のイレギュラー。ただの元から離れたいという一心で、セッコの部屋へと向かうチョコラータ。彼は忠犬セッコに向かって、内心で叫び声を上げていた。そしてセッコの穴倉の様に暗い部屋へ向かって再び歩き出した。
セッコ。助けてくれ!オレはおかしくなっちまったみたいだッ……!!
という女がここに現れる前までのチョコラータの人格や彼の抱くますも心情を普通と仮定すれば、平常心を失くした今のそれは著しく変化しているので、彼が自分をおかしいと形容するのは自然なことだ。だが、世間一般に言うと彼はもともとおかしい。
ここは如何なる殺人衝動も殺人行為も許されるおかしな館。そこには、無条件に与えられる愛をむずがゆい気色が悪いと拒む極悪非道のサイコパス。サイコパスに飼いならされた忠僕。ヤバい二人がいる異質な環境に適応できてしまった死にたがりの快楽中毒者という一風も二風も変わった三人がいる。そんな人格が破綻した三人の元にも、平等にクリスマスはやってくる。
「先生!大変よ!!」
昼を過ぎた頃、チョコラータはリビングで本を読んでいた。学術書や購読している科学雑誌の類は自室の本棚に並べていたが、自室からキッチンまでは距離があったので、喉を潤し小腹を満たしながら読書をするのに自室にこもる気にはなれなかった。そういう訳で、仕事を振られていなければ日がな一日彼はリビングで休日を過ごしていた。だが彼は今仕事を振られていない訳では無い。この、部屋に籠っていろと言ったにもかかわらず慌てた様子でリビングに戻ってきたを殺すのが当面の仕事だ。ああ、殺せるなら殺してやりたいが殺せない。と言うかもう殺したくも無い。チョコラータは本の文字を目で追いながら、何だ鬱陶しい。と呟いた。
「今夜はクリスマス・イヴだわ!!このおうち、クリスマスツリーもリースもキャンドルも何も無い物だからすっかり忘れていたけれど!」
「うちにクリスマスを祝う習慣はねーんだから黙ってろ」
「クリスマスは家族と過ごすものなんじゃないの?そもそも、先生は家族と過ごさなくていいの?」
「私に家族なんていない」
「……ああ、私ったら。ごめんなさい先生。でも、私も一緒なの……」
「いや別に悲しくねーし親なんて随分前に私がこの手でぶち殺したからな。傷を舐めあうつもりで喋り出したんなら見当違いもいい所だ。だから黙ってろ」
「まあ……。それじゃあ私、先生とクリスマスを過ごせるのね!嬉しいわ!」
「お前耳ついてんのか?黙ってろって言ったろーが」
「それならキッチンにある材料でご馳走を用意するわね!」
「それならってなんだ。お前私と会話をする気無いだろう。私だってお前と会話したくなんかないんだがな!?まったく……なんでてめーなんかと家にいなくっちゃあならねーんだ……」
聞く耳を持たないは、チョコラータの話を最後まで聞かずに再びキッチンへと向かっていく。いつの間にか本から視線を外して彼女の後姿を睨みつけていた彼は、読んでいたハードカバーの本を持つ手に力を込める。怒りで二つに引き裂きそうになるのを必死にこらえ、彼は本に視線を戻した。眼球に無理やり文字列を追わせたが、内容が少しも頭に入ってこない。集中力を失くした彼は怒り心頭に本をばたんと荒々しく閉じ、目の前のテーブル上に放り投げた。そしてソファーに身を横たえて高い天井をぼうっと見つめた。
疲れた……。
人付き合いを面倒と思う彼が好むのは、自分の言うことを何でも聞いて実行する人間だ。そんな人間が自分の周りに少なくとも一人いれば十分で、彼は今まで孤独など一度も感じたことは無かった。セッコ以外の人間――彼はほとんどセッコを人間と思って接してはいなかったが――など、自身の欲求を満たすための人形でしかないからだ。その、セッコ以外の人間が今家にいる。だがその女で彼の欲求は満たせないし、自分の話をほとんど聞き入れない。だから彼は疲れ切っていた。人間関係に疲れ切っていた。なんで家でこんな思いをしなきゃならない。想定外だ。
そしてチョコラータは目を瞑った。三か月の辛抱だ。三か月くらいなんだ。耐えるんだ。そう言い聞かせている内に彼は眠ってしまった。
チョコラータが目を覚ますと、テーブルの上にありったけの料理が並べられていた。シャンパングラスとシャンパンのボトルもご丁寧に三人分揃えられている。急ごしらえとは思えない見た目をしたパネトーネまで置いてあった。市販品ではない。シャンパン以外、すべてのお手製だろう。
「ふたりに食べてもらえるって思うと嬉しくって、ついつい作り過ぎちゃった」
そう言って微笑むを寝ぼけまなこで見つめるチョコラータ。ふとテーブルの向かいを見ると、セッコが涎を口から垂らしながら今にも手を出しそうといった様子でパネトーネを見つめている。
「あ、だめよセッコくん。パネトーネはごはんのあと」
「やぁああだぁあああ~~~」
「ああもう……しょうがないわね。今日だけよ?」
「やったああああ!」
おいやめろ。なんで家族ごっこなんかやってんだお前ら……。
チョコラータの言うこと以外基本的に聞き入れないはずのセッコ。非常に扱い辛いはずのセッコを、甘いモノで手名付けてしまっている。チョコラータはふたりに腹を立てた。だがすぐに腹が鳴った。日がな一日寝ていただけだというのに、なぜか腹が減っている。まあ人間、寝ている時だってカロリーは消費する。朝の作ったフレンチトーストを食べたきり何も口にしていなかったので、午後六時を迎えた今腹が空いているのは何もおかしいことでは無い。
パネトーネを切り分けてセッコに渡したは、大皿に乗せた料理を小皿に取り分けてチョコラータに近寄った。
「起きたばかりでお腹空いてないかしら?」
「……いや。……それにしても、食材を勝手にしこたま使い込んだみたいだな。ちゃんと補充しとけよ」
「お買い物に行ってもいいの?」
「……お前出て行けって言ったって出ていかねーだろ」
「ええ!絶対に帰ってくるわ!」
チョコラータは起き抜けに眉間を指先で押さえながら溜息を一つ吐くと、に渡された小皿のパスタを口に運んだ。
ああ畜生。なんでこんなに美味いんだ。
全くもって腹立たしい。相変わらず自分にニコニコと笑いかけてくるにはイラつくし、そんな彼女が作る料理が物凄く美味い。チョコラータは断固として認めなかったが、彼もセッコも、完全にに胃袋を掴まれていた。こと恋愛においてはまず意中の男の胃袋を掴めと言われるが、には完全にそれができていた。
対するはとても幸せな気分だった。これまでの人生で、自分が作った料理を食べてくれる人とクリスマス・イヴを過ごしたことなど無い。
彼女は記憶を失くしているだけなのだが、そうと気づくのはまだ先のこと。今の彼女にとっては、チョコラータとセッコと共に過ごすこの夜が、人生ではじめて迎える、孤独じゃない、素敵な聖夜だった。