祖国発遊侠青春珍道中

 お願い、出てきて。

 がそう願っても魂は応えなかった。にじり寄る敵――ついさっきまで恩人と思っていたのに、実は自分の過去を暴こうと狙っていたと知り、たった今敵と化した岸辺露伴――の霊に追い詰められ、壁に背中をぴたりと貼り付けるよりほかに無い。

 場所が悪い。露伴の性格も。それより何より、力を失くした自分が最も悪い。

 不思議なもので、これまでの経験から体得してきたはずの身のこなしというものが、刀が無いとさっぱり出てきそうに無かった。そもそも刀さえあれば、危険を察知した瞬間に岸辺露伴の喉元に刃を添えて「やめなければ殺す」と脅せていたはずだったのだ。それさえ出来ていれば、敵を目前に据えて背後は壁、あたりには一般人なんていう環境に身を置かずに済んだはずなのだ。

 また、相対する敵が露伴という人間だけでなく、特殊能力を持つ霊――スタンドと言うらしい――もセットでそばにいるということも、この状況を切り抜け難いものにするひとつの要因だった。肉体を持つ人間がふたり立ちふさがるなら、多少、トニオの叔父をはじめとする一般人に迷惑をかけることにはなるかもしれないが、それでも何とか逃げ果せただろう。けれど、目の前にいるのは露伴とスタンドなのだ。

 スタンドには生身の人間とは違って触れるだけで何かされそうな気がするし、触れることすらなく能力の有効範囲内に入っただけで危害を加えられそうな気もする。過去を覗くには露伴自身がページをめくらなければならないようだが、その前に彼のスタンド、ヘブンズ・ドアーによって顔を本にされた瞬間、気を失ってしまうらしい。なので、迂闊にスタンドには近付けない。だと言うのに、ヘブンズ・ドアーは壁を背にしたとの距離を詰めに来ていた。

 完全に気を抜いていた。それをは猛省した。けれど万事休す。助けは来ない。何故なら、この状況を見たらすぐに助けに来てくれたかもしれない人に、ついてくるなと言ったから。

 馬鹿、バカバカバカ! 私のバカ! あんたはここに遊びに来たわけじゃない! 仲間を見つけたからって、それで安心したからって、その上少しイタリア語を覚えたからって、いい気になりやがってこのバカ!!

 には、最早ヘブンズ・ドアーの姿しか見えなかった。その背後に誰がいて、周囲の人間が彼女に注目しているとかいないとか、そんなことは目に入らなかった。だから、彼女を助けに来た男の姿など分かりもしなかった。

『すみません』

 ヘブンズ・ドアーの背後には、イタリア語で岸辺露伴へ声をかける男がいた。露伴は獲物を逃すまいとを見据えながら無視をしようとしたのだが、男は食い下がった。

『なあおい、聞こえているんだろ? 無視は良くない。こっちはあんたを人間と思って話しかけているんだぜ』

 露伴は眉をひそめ、やはりから目を逸らさずに言った。

『やかましいな。今取り込み中なんだ、後にしてくれないか』

 流暢なイタリア語だった。男は少し目を見開いて驚いたが、すぐに続けた。
 
『いいや、それじゃ困る。オレのを、傷付けようとしている男を放っておけるか』

 露伴はその顔に怒りをあらわにして拳を握ると――それと同時に、ヘブンズ・ドアーの動きは止まる――、握った拳を後ろへ立ち上げ、手の甲をそばにいる男の顔面へ叩き込んだ――

 ――はずだった。拳は男の顔にのめり込むのでなく、皮の手袋をはめた冷たい手のひらで包みこまれていた。露伴は舌打ちをしてその手を振りほどくと、そこでやっと男の顔を見やった。

『オレの、と言ったか? 何かの聞き間違いか?』
『いいや。聞き間違いなんかじゃあない。おまえが手を出そうとしているのは、オレのガールフレンドだ』

 突如として攻撃対象が変わり、どこへ向かえば良いか分からなくなったヘブンズ・ドアーは、戸惑いながらも振り返る。スタンドを睨みつけていたは、敵が注意を逸らしたのと同時にやっと第三者がこの場に介入してきたことに気付く。はヒーローの登場に胸がいっぱいになって、目を潤ませて言った。

「メローネ……! 来てくれたの!?」

 どうやら知り合いには違いないようだと思った露伴は、メローネと呼ばれた男の全身を上から下へと見下ろした。ほとんど半裸に近い深紫色のジャンプスーツを身に纏った――端的に言えば変な格好をした男だった。

、おまえこの変態野郎のガールフレンドなのかッ!?」
「ヘンタイ、ですって? 誰が変態デスか、言ってみなさい」
「おお、日本語が喋れるのか。それにしても……やっぱり変態だな」
「あまり大きな声でヘンタイヘンタイと言わない方がいい。その言葉は外国で主に、日本製のポルノアニメを指す言葉デスからね」
「そんなことを知っていると言うところからもおまえのヘンタイ性がよく表れている。さては、人形を買ったっていうイタリア人だな? ああ、ちくしょう。なんでこんな超ド級の変態野郎に僕の仕事を邪魔されなくっちゃあならないんだ。。この変態野郎がおまえのことを自分のカノジョだって主張してるが、本当のことか? まったく、にわかには信じられないな。こんなヤバい格好してるやつ少なくとも日本にはいないし、おまえの趣味ですらないはずだろ」
「あんたが私の何を知ってるってのよ、岸辺露伴」

 はむすっとした顔で露伴の質問に答えたあと彼から目を逸らすと、顔を真っ赤にして小さな声で言った。
 
「メローネは……彼は確かに、私のカレシだよ」
「嘘だろ、この変態が……。なるほど、匿ってくれる男ができて、その男の家に転がり込んでるってワケか……」

 露伴は突然笑い声をあげた。

「おもしろい。おもしろいぞ、! 増々おまえのナカに興味が湧いてきたッ!」
のナカに興味を持っていいのは、オレだけデス、岸辺露伴ッ!! ……待てよ、岸辺、露伴、だって……? まさか……あ、あの『ピンク・ダークの少年』の作者デスか!?  サインください!」
「お客様! 他のお客様のご迷惑になりますので、お静かに――」

 何やら店内が騒がしくなってきた。は混沌としはじめたレストランの隅で目の前に広がる光景を見ながら思った。皆の注目は、どちらかと言えば自分よりも岸辺露伴とメローネ、そのふたりのいざこざを納めようと懸命なウェイトレスの3人の方に集まっていた。ヘブンズ・ドアーもいつの間にか姿を消していて安堵してしまい、次第に何だか面白くなってきて、はにやにやと成り行きを見守りはじめた。メローネの変態性と心変わりに度肝を抜かれ、ウェイトレスに迫られ狼狽える岸辺露伴。何かすっとする光景を見て、の心は突然軽くなった。どれもこれも、メローネが助けに来てくれたおかげである。

 岸辺露伴に長い髪を引っ掴まれながらも、懸命にを守ろうと――あるいは、本気で岸辺露伴のサインをもらおうと――しているメローネの横顔を見ていると、とうとう堪えきれなくなって、も露伴に続き笑い声をあげた。すると今度は、皆の視線が何事かとの方へ向いた。目尻に涙を浮かべ、腹を抱えてけらけらと笑う

「……

 メローネはの姿を見てほっと安堵した。露伴は、髪をむしり取ろうとしていた男の眼差しと、それを向けられたの様子とを交互に見て溜息をついた。

 何はともあれ、はまるっきり無事で楽しそうにしていると、トニオに連絡はできるわけだ。この変態野郎は……変態はともかく、どうやらにぞっこんのようで――イタリア男の“ぞっこん”など、ハマる先は無限にあると信じて疑わない露伴だったが――借宿にも事欠かない悠々自適な生活を送っている。何よりだ。

 ――だが、諦める訳にはいかない。次いつ会えるとも分からないの“物語”を読むことを、ここで諦めるわけにはッ!!

「今だスキ有りッ! ヘブンズ・ド――」
『お客様』

 岸辺露伴の肩にずしりと手が乗った。その声音には圧力があり、誰の耳にも“怒り”が込められているように思われるものだった。はじめメローネの邪魔だてには一切動じなかった露伴だが、その圧力には抗いきれない何かを感じ取り、恐る恐る肩越しに声の主を見やった。

『レストランは食事をするところです。その、テーブルの上にあるお料理をお召し上がりにならないのなら、今すぐ、出て行っていただけますかな。お代は結構ですから』

 片手に鉄製のフライパンを携えながらも、ひどく慇懃な態度で男は言った。岸辺露伴は、その男の姿を日本で見たことがあった。写真の中で笑っている姿を。トニオトラサルディの店内に飾ってあった、家族写真の中に見たことがあるのだ。
 
『し……失礼いたしました。アントニオ・トラサルディさん。お会いできて光栄です』
『おや、私の名前をご存知なのですか』

 初老のアントニオは肩透かしにあったような顔で小首をかしげ、岸辺露伴の顔をまじまじと見た。いくら記憶を辿ろうと露伴の顔に見覚えは無かったし、そもそも日本人の友人を持ったことすら無かった。けれど、日本という言葉を聞いて真っ先に思い浮かべることはある。愛すべき甥のトニオが日本でレストランを経営しているのだ。

『杜王町から来ました、岸辺露伴といいます。あなたの甥であるトニオ・トラサルディには、日本で大変お世話になっています』

 アントニオは目を見開き額に手のひらを打ち付けたあと、オオ! と声を上げながら両腕を開き、日本からはるばるやってきた友を抱きしめた。おかげで、岸辺露伴はまたも自身の野望を放棄せざるを得なくなってしまう。戸惑いながらもアントニオの背中に腕を回し、とんとんと叩いて控えめにギブアップを伝えると、やっとアントニオの抱擁から解放されたのだった。

『遠路はるばるよくぞお越しくださいました! 甥は――トニオは元気にやっていますか!?』

 それから、何故か注目の的となっていた3人は客席へ運ばれた料理と共に店の奥へと通されて、対談することになったのだった。



12: Troublemaker



 以降、皆の会話はイタリア語で展開された。

「おお……あなたがここへ来るはずだった女性なのですね、!」

 遅ればせながらもアントニオの抱擁を受けることとなった。本当なら箱から出てすぐに受ける筈だった抱擁だ。幾分イタリア人のオープンマインドな人との接し方に慣れてきた今だからこそ、アントニオの体の温かさにほっと出来たのかもしれない。解放されたあと、は深々と頭を下げ――ほぼ地面と水平に折り曲げられた上体にアントニオは目を見張った。まるでサムライだ――て言った。

「すみません。ここの住所まで覚えていなくて」
「いいんですよ。でも、あなたは今ここにいる。一体、どういう経緯で? それとも、これは偶然の引き合わせなのですか?」
「それについては、この男が説明します」

 この男、と言われてに指さされたのはメローネだった。え? と言ってを見やった彼はしばらく彼女の横顔を見つめたあと、やっと言うべきことに思いあたったのか途端にアントニオへ顔を向け、恥ずかしげも無く言い放った。

「ここに人形が届いたでしょう。あれ、オレのです」

 アントニオはしばらくメローネの言葉を理解するために笑顔を浮かべたまま頭の中でそれを繰り返した。人形、人形……人形、ここに、届いた……人形。

「ああッ!」

 アントニオは飛び上がってメローネから距離を置いた。驚いて少し落ち着きを取り戻すと、安堵と憐憫が綯い交ぜになったような顔でメローネを見やり、言った。

「あ、あなたがあの……破廉恥な……い、いえ、あの芸術的な人形を買われた方だったんですね。ああ、良かった。本当に良かった、トニオの気が振れたものとばかり……きっと、心配しているでしょうね。早く甥に連絡しなければ……さんが無事でいることも含めてね」

 アントニオはてっきりトニオが、処分に困ったそれを遠く離れたおじに処分させようと、人形にと名前を付けて人間と偽り、押し付けてきたものと思っていたのだ。甥が“あんな物”を買ったと血の繋がりのある親しい人間に明かし、あろうことかその人に廃棄困難な粗大ゴミを処分させようと押し付けてくるなど――男としてというのはともかく――人としてどうかと思うようなことをしたことに腹を立てており、処分など絶対にしてやらないと心に決めていた。

 かと言って“あんな物”を不本意ながらも所持していると他の誰かに知られるなんて絶対に御免だから、店の外には持ち出せない。なので今は、自分以外の誰も存在すら知らないであろう店の物置の奥に、何重もの包みをして追いやっていた。忘れようと必死になるも、先が長い訳でもない自分が死んだ後のこと――そうなれば、家族に遺品整理などされるだろう――を考えると、完全に忘れてしまうわけにはいかない。自分の足腰がしゃんとしている内に、そして物覚えが悪くなる前にどうにかしなければと思うも、近づくことすら躊躇われる。

 もうそんなことで悩まなくて済むのだ!

「ならばメローネさん……ああ、助かった! あなたの物を、今すぐ、持ち帰ってください!」
「もう、いらないんです。差し上げます」

 メローネはふっと優しげな表情を浮かべて、を見つめ言った。アントニオはその表情ひとつですべてを理解した。本来であればと出会うことなく、人形で自分を慰めようとしていた彼だ。ひょんなことからこの可憐な美しい日本人女性と出会い――その反面、私はあの人形を送りつけられたわけだ――体温の無い無機物で自分を慰める必要もなくなったという訳なのだろう。金では買えないものを、あたたかな愛を、彼は手に入れたのだ。なんて素晴らしい話だろう。若者同士の間に美しい愛が芽生えたのだ! だが!

 持っているだけで恥ずかしい“廃棄困難物”を押し付けるのはまた別の話だ!
 
「――いや、いりませんよ! 何センチな顔してるんですか!? 頭おかしいんですか!?」
「あなたこそ、頭がおかしいんじゃあないですか。あんな高価で質の高い物、そうそう手に入りませんよ」
「売れるかぁッ!!」
「何言ってるんです。使えばいいじゃないですか。ほら、もう……トシだろうし、相手もいないんじゃあな――」

 失礼極まりない発言を終える前に、メローネはすごい勢いでテーブルに熱烈な接吻をすることになった。メローネの後頭部に手を添え、テーブルに顔面を叩きつけたのはだ。

『持って帰りなメローネ。あんた失礼過ぎ』
「あい。ちゅみましぇんでちた」

 メローネの意思を矯正できたと分かるや否や、はメローネの後頭部から頭を離した。愛するに嫌われたくないという一心でしかなかったメローネは、顔を上げると渋々言った。

「……が言うので、人形は持って帰ります。……それで、まあなんやかんやで色々あって、人形を作った日本の会社に問い合わせたら、誤送先を調べて教えてくれたって訳です。それでも、本来送られるはずだった場所を知った」
「なるほど。ところで、さん。私は一度、甥から君の身を預かるように言われて、それを約束した身です。今からでも、私はその約束を果たすことができます」
「ありがとうございます」

 は言いながら、アントニオに向かって再度深々と頭を下げた。メローネはその言葉にぎくりとして、眉根を寄せてを見やった。まさか、我らが暗殺者チームを離れてここで暮らすつもりでは、と心配したのだ。

「けれど、もう大丈夫です。ご心配には及びません」

 メローネの心配にも及ばなかったらしい。彼はほっと胸を撫で下ろし、を見つめた。すると、彼女の目もメローネの目を捉えて、見つめ合う形になった。

「彼が私の傍にいると約束してくれたので。それに、私がこのレストランにお邪魔していると、こういう――は露伴を指差した――トラブルを今後も引き寄せることになると思いますから」
「さあ、もういいだろう、アントニオさん」

 頼んだ料理を平らげてしまった露伴は、心底うんざりしたような顔で言った。

「この変態野郎――露伴はメローネを指差した――が買った卑猥な人形はここから綺麗さっぱり無くなって、厄介事を引き寄せる物騒な娘の面倒も見ずに済んでめでたしめでたしってワケだ! 一方ボクはとても美味い夕食にありつけて腹だけはしっかり満たされた。払うもん払ってさっさとお暇しようと思うんだが、どうだろうか?」

 は露伴を睨みつけた。この男、まだ私を“本”にすることを諦めていないらしい。だがそれなら尚更ここから早く出て行かなければ、またアントニオさんに迷惑をかけることになる。も露伴同様に席を立つと、おごちそうさまでしたと言いながら、テーブルの上に料理の代金よりも少し多めの金を置いて、アントニオの前に立ち再三にわたって頭を深々と下げた。

「ご迷惑をおかけして、申し訳ありませんでした」
さん。こんなこと、迷惑の内に入りませんよ」

 アントニオはにっこりと笑いながら続けた。

「甥の友人に会えて、本当に楽しかった。是非、また料理を食べに来てください。お友達料金で腕をふるってさしあげますよ。ああ、それとあなた! メローネさん。いけない、忘れる所だった」
「チッ。覚えていやがったか」
「ちょ、今舌打ちしましたね!?」

 メローネはアントニオにぷんすかと何か早口に言われながら腕をちぎらんばかりに引っ張られ、例の開かずの倉庫へ引きずられて行った。その姿をにやにやと眺めていただったが、すぐに危険を察知して露伴の方へ振り向いた。

 よりも20センチメートルは高い背丈の彼がを壁際に追いやり、覆いかぶさる。そして誘惑するような熱い視線をへ送る。

「やっと二人きりになれたな、
「やめなよ。後で痛い目見るよ」
「君のナカを覗けた後なら、その痛みも甘んじて受けるさ。ヘブンズ・ド――」

 言い切る寸前だった。露伴の懐で携帯電話が鳴った。スられる時のことを考えて胸の内ポケットへ入れていた携帯電話。尻ポケットなら無視できたかもしれないが、心臓の近くで震えられるとどうしても無視が出来そうになかった。神経に触るのだ。魂を具現するのは難しかった。

「――クソッ! 一体何だってんだ!」

 露伴は携帯電話の画面を見て、邪魔者の名前を確認した。名前はトニオ。厳密に言うと、発信元はレストラン・トラサルディに置かれた固定電話だ。

「おい、トニオ。今忙し――」
『あー、あんた露伴さんだよね』

 知らない声だった。そして、その流暢な日本語からトニオではないことは明らかだった。露伴はトニオという文字を何か他と見間違えたかと思って文字盤を見直した。しかし間違いなく、発信元はトニオの店の固定電話だった。

「貴様、一体何者だ?」
『まあ、オレが何者かなんて言ったところでアンタは知らないからわかんないし、それは全然重要なことじゃあない。進捗が知りたいんだよ。あんたの、人探しのさ』
「人探し? 何のことだ」
『これ以降、あんまりすっとぼけたことは言わない方がいいと忠告するぜ。あんたの友達の料理が金輪際食えなくなっちまうからな』

 露伴はを見た。何か、露伴の醸し出す只ならぬ雰囲気を察したような顔で、露伴が耳に当てる携帯電話のスピーカー辺りをじっと見つめる彼女を。

 さっきはまるでボクのことをトラブルのように言ったが、それはあながち間違いじゃあ無かったらしい。ボクがトラブルなら、。君は紛れもなくトラブルメーカーだ。