名残惜しかったが、メローネはを後ろに乗せたバイクをアジトのガレージへ仕舞うことにした。帰りの道中、彼女の腹の虫が幾度となく腹が減ったと音を鳴らしたからだ。アジトへ到着すると、メローネはガレージのシャッター前でバイクを停めてエンジンを切った。外には、排気口から出てきたトマトベースの――スパゲッティかカポナータか、その辺の――何かが、今まさに作られているような香りが漂っていた。頃合いだった。
も名残惜しそうにメローネの背中から離れると、シャッターを開けてバイクを中へ押し込んだ彼がヘルメットやグローブを外した後、それらを相棒のハンドルへ掛けるのを見届けてから、トマトの香りを辿っていった。
アジトを出る前はこの世の終わりのように感じていたのが、今は何故かスッキリ晴れた心地がしていた。メローネが大丈夫だと言ってくれた。互いに気持ちを伝え合い、二人の仲はより親密なものになった気がした。なんの根拠も無いけれど、彼は私を本気で助けてくれるという確信を得た。仮に、メローネに危険が迫ったのなら、私も彼を本気で救うだろう。そう思えた。――あとは、刀を取り戻して……。
おかげで足取りも軽い。夕飯も楽しみだ。
一方のメローネも幸せに満ち溢れていた。に好きと言われたからだ。それだけで、世界が変わって見えた。何度もひとりで通って見飽きたはずのドライブコースの風景が、まるで別世界のように見えた。自分の腹の虫も空腹を訴えているし、それで生の喜びをめいいっぱいに感じた。だからか、アジトへ向かう足取りは軽かった。
けれど彼の幸せは長くは続かなかった。
「いやだ!」
メローネは駄々っ子のように言った。リゾットは一度彼に言って聞かせたのと同じことをもう一度繰り返した。
「をチームへ引き入れる。そして、物置きにしている空部屋をにあてがう」
「いやだいやだいやだあ!!」
「彼女の同意を得た今、最早これは決定事項だ」
涙に濡れた瞳を、懇願の眼差しを向けられるも、は構わずトマトクリームソースがふんだんにからまったスパゲッティを幸せそうにつるつる食べる。彼女の上機嫌には拍車がかかっていたが、メローネはいよいよ絶望した。あまりの苦しみに喘ぎ声までだしている。その様子を相変わらず、ホルマジオを始めとするチームメイトたちが気持ち悪そうに、呆れながら眺めていた。
「あんな、ホコリまみれで狭っ苦しい監獄みたいな部屋にを住まわせるなんて、正気じゃあない!」
「それを言うなら、おまえとを今まで同じ部屋で生活させていたオレの判断が正気じゃなかった。改めて、侘びを言う。申し訳なかったな、」
「いえ。気にしないで。そもそも、居候の身ですから。とは言え、今は力を失くしていて、メローネを牽制できない状況なので助かりマス」
「それだよ」
ギアッチョが口に咥えていたフォークをへ向けて、怪訝そうに言った。
「力を失くしてる。そんな女が仕事なんかできるわけねーだろうが」
たしかにな、とイルーゾォが呟く。彼もまた、ギアッチョと同じくのスタンド――変幻自在、神出鬼没の得物――を実際に見ている。あの能力が使えるのなら暗殺にはもってこいだが、肝心のそれは今消失したか、宿主の中で鳴りを潜めている状態だ。使えないという言葉はそのまま、能力者である自体にあてられてしまう。はギアッチョの指摘を受けてしばらくポカンとした後、口を開いた。
「スタンド能力がないと仕事できないんデスか?」
「ああッ!?」
はギアッチョを煽ったつもりはなかった。もとより、自分の手にしているのがスタンドと知らずに刃を振るってきた彼女であるから、刀の他に頼れるのは自分の体と、その体にしみついた技量だけだった。ここまで丁寧に説明していれば、ギアッチョにも理解してもらえたかもしれない。けれど、イタリア語を学んでいる最中の彼女には難しい。怒った相手を見て、謝罪すべきだろうと考えるだけの礼節はわきまえているだったが、ギアッチョの向ける敵意はあまりにも性急で危機意識を抱かせるのに十分なものだった。謝罪の言葉を吐く前に、敵意に対処しようと身も心も構えてしまったのだ。このままではマズいと判断したメローネは、とっさにギアッチョとの間に立ち、いきり立つふたりをなだめにかかった。
「ふふッ……。おもしれぇ。言うじゃあねーか、」
どこか関心したように、プロシュートが言った。
「オレは気に入ったぜ。楽しくなりそうだ」
「何がだッ! クソ面白くねーことを言われてそのままかッ!? 何も楽しくねぇッ!!」
「おい、落ちつけギアッチョ。はおまえを怒らせようと思って言ったんじゃあない。……イタリア語に不自由なんだよ。勘弁してやってくれ」
「そこも問題だよなァッ! そもそも、リゾットの指示を正確に理解できんのかよ!?」
「頑張ります」
は立ち上がり、ギアッチョに向かって深々と頭を下げながら言った。
「頑張ります! イタリア語の勉強もちゃんと続けます」
言いながら、はスタンドの――トリヴィアムの言ったことを思い出していた。
私はずっと、そばにいた。。私は、おまえが守りたいものを守るもの。おまえと共に戦うもの。おまえが命尽きるその時まで、おまえが願うことを止めるそのときまで、何度でも蘇るもの。
あの言葉が本当ならば、トリヴィアムは何度でも蘇る。メローネに、どこまでもついていくと、どまでもいって助けると、そう言われた後になってはじめて、は自分の魂の言うことを信じることができた。
「スタンド能力も取り戻します。だから、ここで働かせてください!」
「。こいつに頭なんか下げなくていい」
リゾットの言葉で、はやっと身を起こした。ギアッチョはごくりと息を呑むと、の気迫に圧されて引いていた身をゆっくりと立て直した。
「リーダーはオレだ。オレがそうすると決めたことに、ギアッチョはもちろんその他の者も皆イヤとは言えない。……歓迎するぞ。」
今度はリゾットへ向かって、は深々と頭を下げて言った。
「グラッツィエ!!」
フランクなんだか、堅いんだが。何だかちぐはぐなような気がして皆がくすくすと笑うと、も顔を上げて笑った。その笑顔はまるで太陽のようで、ついさっきまで怒気をぶちまけていたはずのギアッチョまでもが目を奪われたのだった。
「じゃあさっそく、メシの後に部屋へ案内しよう。……おい、ホルマジオ。部屋を片付けるから、おまえも手伝え」
「おう」
メローネは泣いてに縋ったが、は残酷にもそれを振り解いて、美味しいスパゲッティを平らげることに専念した。
会えない間に浮気をするか、さらに沸き起こる熱情で身を焦がすかは人それぞれだが、少なくともメローネは後者であった。そもそも、会えないと言っても同じ屋根の下には居るわけだし、会おうと思えばいつでも会える――部屋が違うだけで、本来あるべき姿におさまっただけでもある――わけだ。
メローネの求愛行動があからさまに、そして執拗になるのは目に見えていたが、はそれを良しとしていた。
恋に駆け引きはつきものだ。これくらいの距離感は当然、あった方がいいに決まっている。
何はともあれ、チームへの仲間入りを果たしたは少しだけわくわくしていた。
10: The Evil That Men Do
ししおどしが枯山水のなかで頭を垂れた。静謐な庭園に響き渡る涼やかな音。格式高い庭と家屋は竹林に囲まれている。その秘匿性たるやいかばかりか。屋敷の広間には――火傷、切り傷、縫い後が目立つ――強面の男たちが40数名ほど集い、ひとりの男の到着を苛々と待っていた。
ししおどしがまた鳴る。庭の際、縁側を男が悠然と歩く。特に急ぐ様子もない。広間のふすまを開けると、彼は言った。
「すんまへんな〜! 道が混んどったさかい、遅れてもうたわー」
すみませんとは言うものの、それは口先だけの態度だった。待たされた男たちの目の前を、男は頭を上げたまま堂々と歩いて奥へと進んで行く。彼に頭を下げる者もいれば、若人の不遜な態度に憤りを隠せず、苦虫を噛み潰したかのような顔で睨みをきかせる者もいた。そもそも、市街地から離れた、竹林に囲まれる屋敷に来るのに道が混むものか。調子に乗りやがって。皆がそう思ったが、怒りに任せて立ち上がるものはいなかった。この男の破天荒ぶりと言ったら、歴代の若頭でも類を見ないほどだからだ。この程度のことで逐一怒っていてはきりがない。
いつもニコニコと気に障る笑顔を浮かべ飄々としているのに、いつの間にか近くで人が死んでいる。なんの前触れも無く、なんの躊躇いもなく。人情に薄いかと思えば、涙を流す時もあるし、たまに怒り狂う時もある。人間味が全くない無いとは言えないが、掴みどころもない。そんな彼――伊勢谷鐵芯は、日本の1都1道2府30県に勢力を広げる指定暴力団、伊勢谷會を束ねる伊勢谷組の若頭であった。
彼の父、伊勢谷虎鐵は今なお組長の座についてはいるものの、生命維持装置によって延命されているにすぎない――鐵芯の言葉を借りれば――“死にぞこない”だった。今回の幹部会は、組長が何故そうなったのか、その責任を追求するために開かれた。
組長を暗殺――未遂だが――したのが、鐵芯の“懐刀”だったからだ。
鐵芯は座卓を跨ぎ、広間の奥に座した。父親がいつも陣取っていた場所の隣だ。申し訳なさのかけらも見せない表情はやはりどこかヘラヘラとしているように見えて仕方がなく、幹部連中は腸が煮えくり返るような気持ちで一斉に視線を若頭へ向けた。けれど、彼は怯むどころかむしろさらに若気顔を強めていた。
「それで……。どう落とし前つけるつもりなんじゃ、鐵芯」
幹部の中でも古株の男が訊ねた。
「なんやぁ、渋谷のおっちゃん。まるでオレが悪いことしたみたいに言うやんか」
「おまえのオンナがやらかして逃げてんとちゃうんか」
「せやから、今下のもんに追わせてるんや。まだ捕まえてへんねん。かんにんやで」
許せと言われて許せるなら、会合など開く必要はない。苦虫を噛み尽くしてたまらなくなった他の男がひとり声を荒げた。
「うちの若い衆も、皆そのオンナにやられた。十二人もや!」
「知ってる」
「知ってるなら、お前は今そこに座って何わろてんねんコラァ!!」
座卓を、その上に乗っていたもてなしの品をも蹴散らして息巻く男を、鐵芯は笑顔のまま見やった。
「アイツをあんさんの前に連れて行けばええん? 目の前で首落としゃ気ぃ済むんか? それとも、あんさんのナニでもしゃぶらせたろか?」
「……組長の息子やからって、あんま調子にのっとったら――」
「まあ、聞きいや」
鐵芯は今にも怒り狂いそうな男をなだめるように、落ち着いた声音で続けた。
「今、わいが出来ることは全てやっとる。なんやみなはんいきり立って勇み足にお集まり頂いたところ悪いねんけど、ここでこれ以上のことはなんも言えんねん」
「おまえの懐刀がやらかしたことや! その責任を取るんはオンナやない!! おまえや、鐵芯!!」
男はスミス・アンド・ウエッソンの回転式リボルバーを腰から抜き取り、若頭に向かって構えた。脅しのためではない。ここでなら、いくら発砲したところで警察は駆け付けてこない。――もとより、こうなることを予期して、渋谷はこの場所を選んでいた。けれど、幹部連中の思い通りにことが運ばないことも、彼にはお見通しだった。
カチャリ。撃鉄を起す。人差し指がトリガーにかかる。銃口を向けられた鐵芯は尚も若気顔を崩さない。何故怯みも、身構えもしないのか。謎――恐怖心が男を襲う。恐怖心を無理に掻き消そうとして、男は雄叫びを上げる。そして起こる、けたたましい発砲音。弾は確実に鐵芯に向かって放たれた。けれど何故か跳弾し、鐵芯のそばで同じく拳銃を構えて立ち上がっていた別の男の頬をかすめた後、襖の障子に穴を開けた。
「うあああァァァあああッ!! 手がッ!! わいの手ぇがあああッ!!」
鐵芯を撃った男は手首から先をリボルバーもろとも畳に“落とし”ていた。腕の先の切断面は綺麗で、まるで切れ味抜群の大きな肉切り包丁で勢いよく上から断ち切られたようだった。皮、肉、骨の断面が、人体の構造の一部がよく見える。けれどそれもすぐに、おびただしい量の流血によって見えなくなる。男は腕を抱え、自分の血に濡れながら畳の上を転げ回った。数人は手を切り落とされた男を取囲み止血を試みて、医者を呼ぶようにと声を荒げた。残りは立ち上がり鐵芯を取り囲み、皆一様に銃口を若頭へと向けていた。
「はあ。こないなんのは分かっとったんや。せやから、来とうなかったんやで、ホンマ。道が混んどったってのはウソや……そんなんみんな分かってはるやろけど」
鐵芯が頭をボリボリ掻きながらぬらりと立ち上がるのを、取り囲む男たちは固唾を呑んで見た。怯み、後ずさるものも数名いた。じりじりとした静寂の中銃口を構える皆は、先程起こったことを思い起こしていた。
鐵芯が何をしたのか、全く、何も見えなかった。
鐵芯は得物の一切を持っていない。銃も、ドスも、日本刀も何も持っていないのだ。鎧を着ているようにも見えない――江戸時代の遊び人のように、派手な柄のきものを着崩しているだけだ。なのに何故、手を切り落とせるのか。最早、あれが鐵芯の仕業かどうかすら分からなかった。
「タマあ取らんかっただけありがたく思いや、小林」
手首から先を切り落とされ顔面蒼白となってもまだ意識を保っている小林が、鬼の形相で若頭を睨みつけた。
「んで、ここで無駄な同士討ちをやって、無駄に兵隊減らす気にもならへん。できんのやのーて、やりたないんや、わいは。せやから、イチモツのデカさ比べはこれくらいにして……おとなしゅう席につけ。な?」
飛び交う怒号。降りない銃口。鐵芯はひとつ大きなため息を吐いて、悲しそうに言った。
「無鉄砲を勇敢さと履き違えとるバカにはたまらんわ……ほんま」
伊勢谷會の総本山であるH県はK市長摩町から、遠く離れたM県S市杜王町に、失踪した同僚を探しにやってきた男がいた。彼は今、この辺りの景勝地と名高いボヨヨン岬近くの公園でバスを待ちながら途方に暮れている。
「それにしても、ふざけた名前だな」
なんてことをひとり呟きながら。ふと、彼の胸ポケットで携帯が震えた。きっと上司からの催促だ。彼はそう思った。画面には思いうかべた通りの人物の名前が浮き上がっている。
「はい」
『おまえを行かせたんは間違いやったかもな』
開口一番に心底うんざりしたような声を聞かせてくる。今まで聞いたことのないような、なかなか珍しい声音だった。
「何があったんです」
『幹部連中みんなやってしもうた』
「まさか、殺したんですか」
『いんや、さすがにそりゃないわ。殺してしもーたら、下の連中にあいつに逆らったらマズいって言って聞かすやつがおらんようになって、また同じことの繰り返しや。それくらい分かっとんねん。せやから殺さんように殺さんようにってやるのが、これがまたえらい難しゅうて疲れてもうてなぁ。もうなんかいろいろ面倒になって最後何人か半殺しにしたけど……まあ、これであいつらもいっとき黙っとるやろ』
腕の立つ腹心がいないと分かるなり、若頭を討てると勘違いした連中が結託した結果なのだろう。と、男は思った。自分で自分を腕の立つ腹心と呼んだことを内心に笑いながら、いや、まあ事実だしなと思い直す。
「ええ。これであんたには誰も逆らえない」
『大事な一張羅が真っ赤っ赤やでほんま。ばっくれりゃ良かった』
「ばっくれたって、舞台が変わるだけですよ。少なくとも、寝巻きか何かは真っ赤っ赤になったでしょうね」
『……それもそうやな。眠りを妨げられるよりマシや。ところで――』
電話口の向こうで、車の扉の閉まる音がした。続けて鐵芯は運転手へ、自宅へ向かうように言いつけた。
『――はおったんか?』
「すみません。まだ」
『おまえ今どこにおんねん』
「ボヨヨン岬ですね」
『おまえふざけてんとんちゃうんか』
「いや、ふざけてはないですね。……いや、本当に……観光パンフレットにはそう書いてあるんで……まあ、これを言う必要は無かったかなとは思いますね」
『おまえ毎回思うけど、なんかズレとんねん』
「すみません」
『ええてええて。おまえのそういうところも含めて好っきゃねんから。で?』
「はい。M県S市は杜王町に」
『またえらい遠くまで、ご苦労さん』
「この街であいつの消息が途絶えまして。今途方に暮れて観光してました」
『いや観光すな』
「すみません」
『すみませんちゃうねん。おまえすみません言うて許されるなら、ポリ公もヤクザもいらんねんて。ボヨヨン岬とかけったいな名前したとこで油売ってんと、はよ仕事しぃやほんま!』
「はい。すみません。あ……バスが来たんで切りますね」
『あ、おいまだ話は――』
男は通話を切り、携帯電話を尻ポケットへ仕舞う。バスが来たというのは嘘だったが、それから5分と経たないうちに、町内へと戻るバスがこちらへ向かってくるのが見えた。男はジャングルジムの天辺から飛び降りると、バス停へと向かい、到着し客を迎え入れようと開いたバスの入口へと飛び込んだ。
それにしても、これからどうしたものか。
男は考えた。消息が途絶えたということは、何か非合法に飛行機だか船だかを使ってこの地を離れたということだ。飛行機と言っても、この街に飛行場や滑走路の類は無い。ならば船か。とりあえず、港へ行ってみよう。
そう考え、窓から流れ去る景色を見ていると、腹が大きな音を立てた。
「お兄さん」
反対側の座席の後方から声がした。男はチラと後ろを見やる。すると、大きく青い目をキラキラさせてこちらをじっと見つめる外国人がいることに気付いた。男は人差し指を自分の顔に向けて小首をかしげる。すると、後方に座っていた外国人がうんうんと大きく頷いた。
「お兄さん、さっき、腹の虫が大きな音を立てましたね。お腹空いてるんデスか」
「あ、うん。まあ」
「それはいけませんね! お腹空いているなら、私のレストランに来るといいデスよ!」
「あんた、コックさんなの」
「ええ! イタリア料理店をやっています! レストラン、トラサルディ!」
「ああ……。なんか、町の観光案内にそんな名前見たような。……高くない?」
「ええ! 良心的なお値段で、身も心も大満足デスよ!」
男はうーんと唸ると、薄っすらと笑みを浮かべて答えた。
「じゃあ、行くよ。あんたのレストラン」
トラサルディはにっこりと満面の笑みを浮かべて、見知らぬ旅人を心から歓迎したのだった。