母は早くに亡くなった。が十二歳の時だった。乳癌を患い長く闘病生活を送っていたが、元々体が丈夫な方ではなかったこともあって、三十六歳という若さでこの世を去った。
父は母をこの上なく愛していた。母が闘病末期に病室から出られないほど衰弱していた時は、どんなに忙しい時も必ず一日に一度は病室に赴いた。亡くなって一週間は仕事を休み、弔事が終わったその日から自室からしばらく出て来なかった。きっと、ふたりの思い出をふりかえって、写真の中の笑顔はもう二度とこの目で拝めないのだと悲しみに暮れていたのだろう。使用人が作ってダイニングテーブルに置いた料理を義務的に口の中へ放りに来た父の顔には、一切の生気が見られなかった。
それから、父親は仕事にのめり込んだ。悲しみを振り切らんと馬車馬のように働いた。が“避けられているのではないか”と幼心に感じてしまうほど、もともと少なかったふたりの会話はさらに減った。
思えば、父に褒められたい。父に自慢の娘だと言われたい。――父に構ってほしい。そんな思いが、彼女を勉強に打ち込ませたのかもしれない。が試験でどんなにいい点数を取っても、どんなにいい大学に入ろうとも、「そうか、よくやったな」との言葉をかけ、多額の祝い金が口座に振り込まれるだけだった。
それでもは、死んだ母を愛し続け、生涯母以外の女性を愛さないと心に決め、仕事に打ち込む父を尊敬していたし、愛していた。
だから一流大学の大学院を主席で卒業した後、父の手助けになれればと父の会社に就職したのだ。会社を継ぐとかそういう魂胆があったわけではない。ただ単に、父の助けになりたかった。会社のため、ひいては父のために、自身の持つ知識や技術を最大限活用する道を選んだのだ。
――その選択は間違いだったのだろうか。
目の前の光景を受け入れられず言葉を失くしたまま、はその場に立ち尽くしていた。
「おい、そこのデカいの」
ロマーノはの前に立つイルーゾォを指差して言った。
「貴様がイルーゾォか」
「は……はあ。そうですが」
イルーゾォは慣れない敬語でたどたどしく喋る。
「を殺そうとした男二人はどうした」
イルーゾォは手に持っていた瓶を掲げた。
「この中にいます」
「ふざけているのか」
「いや、ふざけてはないですね」
イルーゾォは戸口付近にいたホルマジオをねめつけて、オラ、と瓶を突き出した。はいよ、と気だるげに答えたホルマジオが能力を解除すると、パリンとガラス瓶が割れた直後、突如として現れた男二人の体がドサドサと音を立てて床に落ちた。
男たちはダクトテープで足や腕を固定され、口も覆われている。くぐもった唸り声を上げながらもがく男――を襲おうとした方――のみぞおちに蹴りを食らわせると、ホルマジオはふうと一息ついた。
ロマーノは、が連れ去られてから今まで何が起こったのか、その詳細の説明を求めた。彼の求めるものを提供できるのはイルーゾォだけだ。イルーゾォは自分の目の前で起きたことを包み隠さずすべて――否。自分がを床に押し倒そうとしていたことなどは伏せて――告げた。
告げ終わったあとのしばしの沈黙。ロマーノは話の間伏せていた顔をもたげ、床の上に転がる男二人に鋭い眼光を向ける。それは、が今まで一度も見たことが無いような表情だった。
「……今すぐにでもぶち殺してやりたいところだが、そいつらにはまだ吐いてもらわなきゃならんことがある。……雇い主を吐かせろ。吐かなければ二人共ぶち殺して海に沈めろ」
「父さん!」
もうやめて。は目に涙を浮かべながら声にならない声を震わせた。だが、ロマーノはなどこの場にいないかのように振る舞った。彼の目には目の前にいるはずの娘の姿が映っていないのだ。
ロマーノは構わず、プロシュートに拷問を命令した。何も言わずに頷きソファーから立ち上がったプロシュートは、自室へ拳銃を取りに向かった。
プロシュートが席を離れると、ロマーノはソファーの際の床上に立てて置いたアタッシュケースを手に取り、テーブルの上に置いた。留め金を二つ外し蓋を開ける。中にはぎっしりと札束が詰まっていた。
「……報酬だ」
ホルマジオはひゅうと口笛を吹いた。娘ひとり助け出しただけで、本業の殺しすらやっていないというのにずいぶんと羽振りの良いこと。皆あんな量の札束を目にするのは初めてだった。ギアッチョやペッシは固唾を呑んだ後、得た金を何に使おうかと近い将来に思いを馳せはじめる。
「イルーゾォ、とか言ったか」
ロマーノは鋭い視線を横に流し、イルーゾォを見据えた。
「そもそも、貴様が鏡の中に姿を現すなんてヘマをやらなければ、の居所が分からないなんてことにはならなかったんだがな」
「……お言葉ですが、お父さん」
「貴様にお父さんと呼ばれる筋合いは無い」
「が」
「娘を呼び捨てできる仲にいつなった」
「オレを追ってこの街にいなければ」
「……いい度胸をしているな貴様」
「今頃ミラノかどこかで死んでいたかもしれませんよ」
滅多なことを言うもんじゃない。リゾットがそう言いたげに目を細め、イルーゾォを見やった。だが、彼は構わず続ける。
「オレが、オレの能力で、この殺し屋ふたりに気づかれることなく完璧に尾行できたからこそ、は今ここに生きて立っている。さらに、に傷一つ付けさせることなくこの二人組を無力化し、ここまで連れて来ることができた。これは能力も何も持たない人間に真似できることじゃあない。……そう思いませんか」
「何が言いたい」
「誰かに命を狙われていると分かったこれからなら用心できる。だが、起こることを誰も知らなかった今夜のことに限って言えば、むしろはこの街にいて、なおかつオレと一緒にいて良かった。そうでなければ、殺した犯人すら特定できないまま死んでいたはずだ。……いや、生死不明のまま行方不明扱いになるのがいいとこでしょうね」
ロマーノはイルーゾォの話を聞き終わるや否や立ち上がり、ゆっくりと部屋の入口に向って歩きだした。そして彼の直ぐ側で立ち止まると、目も合わせずに言い放った。
「貴様を含むチームの働きへの対価を、たった今そこのテーブルの上に置いたつもりだ。……まだ何か不満でもあるのか」
不満ならまだ解消されていない。鏡の中に一瞬だけ姿を現したことをヘマと称されたことに対する謝罪が欲しいところだ。あんなもの、の執念深ささえなければ絶対に誰にも気づかれなかった。もっと言えば、そのヘマのおかげでの命が助かったと言っても過言ではないという説明をしたつもりだったが、これ以上お父様の心証を悪くしてもいいことはないだろう。
イルーゾォは大人しく首を横に振った。
「……いいえ」
「ならばいい。。帰るぞ」
ロマーノはに背を向けたままそう言った。だが、娘はなかなか返事をしない。しびれを切らして後ろを振り返ると、彼女は父親から視線をそらしたままぼそぼそと喋りだした。
「……イヤよ」
「。私の手をこれ以上煩わせるな」
「私に話すことがあるでしょう。……父さんは、私のことをこんなギャングの巣窟に置いていけない、なんて思ってるのかもしれないけれど、今となっては父さんが一番信用ならないわ。私の命を救ってくれた彼らよりもね。だから帰りたくないと言っているのよ」
話してほしいこと。それは、今の今までパッショーネの幹部だということを黙っていたと言う点についての説明だ。ロマーノはそうであると名言してはいないが、配下の暗殺者チームの者たちが父の依頼をすんなりと受入れ、彼らに依頼を全うした対価として報酬を渡していて、自分が帰ってくるまで上座でふんぞり返っていたという点から明らかだ。
だが相変わらず、ロマーノは多くを語らない。今の彼の頭には、をミラノに連れ帰ることしかないのだ。
「……お前が囲ってるあの、フリーの調査員。あいつをどうしようかと考えている。あいつこそ、お前の命を危険にさらした張本人だからな」
「ここでシドのことを持ち出すなんて卑怯だわ!手紙を書いていたはずよ!私に何かあっても、彼には関係ないって!私の勝手だって」
「お前の勝手であの男を失いたくなければ、今すぐ私と一緒にミラノへ帰れ」
は悔しげな顔をちらと見せた後すぐに伏せた。ロマーノはの手首を掴み乱暴に引き寄せ扉へ向かう。するとホルマジオが気を利かせて扉を押し開けた。
名残惜しそうに後ろを振り返ったとイルーゾォの目が合った。彼も彼女との別れを惜しんで手を伸ばしたが、引き止める間もなく、は扉の向こうへ姿を消した。
男――確か、シドとか言っていた――を失いたくなければ。そう言われては去っていった。オレ以外に、失いたくない男がいる。そういうことか?それに、連絡先も何も知らない。もう二度と会えないということなのか?
扉に向って手を伸ばしたままの格好で、イルーゾォは呆然としていた。そんな彼の肩に、ホルマジオがぽんと手を乗せる。
「諦めろ。あの女はお前にゃ出来過ぎだぜ」
いつもの彼ならば、オレの体に気安く触れるなとでも言いながら肩に乗ったホルマジオの手を払い除けただろう。だが今は、途方も無い喪失感に見舞われているせいで、ホルマジオの同情を受容する他なかった。
08: Leave My Heart Out Of This
落胆した様子でソファーへ腰をおろしたイルーゾォを、ギアッチョが見やって睨みつける。恨み言を口にしてやろうかと口を開きかけたところで、テーブルの上で口をぱっくりと開けたままの格好で置かれたアタッシュケースが再度目に入った。
この、見たことも無いほどの大金がチームの手に入ったのは、イルーゾォが・を無事殺し屋の魔の手から救い出し、無傷でこの場まで連れ帰ったおかげだ。
ギアッチョは金を目にした途端冷静さを取り戻した。彼とメローネは今回の一騒動について、ほとんど何の役にもたっていない。それでも、夜中に駆り出された手当てくらいはもらって当然なわけだが、その取り分というのが、いつもの仕事で得られる金額より多くなりそうだ。要するに、イルーゾォのことはよくやったと褒めてやってもいいくらいなのだが、純粋に褒めてやる気にもなれない。何と言ってもやはり、自分が究極に寝たくてたまらなくてイライラしている時に、綺麗なねーちゃんとイチャイチャしていやがったという点が気に食わない。彼は今、そんな複雑な気持ちでいた。
「なんだ……。ロマーノさんと嬢は出てったのか?」
サプレッサーを取付けた拳銃を手にしたプロシュートがリビングへ戻ってきた。彼の誰となしにした問いかけにはリゾットが返答した。
「帰った。……早いとこ雇い主を吐かせて、ロマーノさんへ報告しなければな」
「ああ」
プロシュートはさっそく、ロマーノに指示された仕事を片付けようと、芋虫のごとくに床に転がる男ふたりの元へ歩み寄る。途中で、未だに部屋の隅でトレーを抱え立ち尽くすペッシに呆れ顔を向けた。
「てめーいつまでそこにつっ立っているつもりだペッシ。ビビリすぎなんだよ。片付けが済んだらこっちに来い」
言われてびくりと体を揺らしたペッシは、テーブルの上の、客人の手に触れさえもしなかったコーヒーカップを手に取ってキッチンへ向かった。彼はこれから尋問スキルだか拷問スキルだかを学ぶことになるのだろう。
「つーかよ」
イルーゾォの隣に腰をおろしたホルマジオが、これまでずっと疑問に思っていたことを解消すべく口火を切った。ギアッチョもメローネも金に目が眩んでいて、イルーゾォは心ここにあらず。だが、皆疑問に思っていることなはずだ。それどころではない彼らに代わって聞いてやろう。聞いたところで誰の耳にも入らないかもしれないが。
「何で嬢の居場所が分かったんだよ」
が拐われたらしい場所で、何か手掛かりはないかと闇雲に目配せしていた三人に、どこへ向かえと指示したのはリゾットだ。だが、当の本人は首を横に振った。
「さあな。何故居場所が分かったのか未だに検討もつかない。……オレは、ロマーノさんに言われたことをお前たちに伝えただけだ」
「あの人の能力なのか?」
「いや。……恐らくあの人が電話でやり取りをしていた相手の能力だろう。その能力というのが、一般人に備わるものなのか、それともスタンド使いのそれなのかは分からない」
「そいつ、こっちにいる訳じゃあねーんだよな?」
「恐らくな。ミラノにいながらイルーゾォの居場所を探し当てたとのと同一人物だろう」
自分たちが現地で何も得られなかったというのに、ナポリにいるわけでもない、顔も何も見せない人間にそんな真似ができるのか。仮にその正体不明の情報提供者が、イルーゾォが仕事に出たミラノにいるとする。スタンド能力にしたって距離が離れすぎだ。世に言うハッキングとか、そのへんのスキルがなせる業なのか。パソコンなんてメールを打つのにしか使ったことがないホルマジオには、想像すらできなかった。
何はともあれ、最終手段――メローネのベイビー・フェイス――に出ることなく済んだし、大した苦労もせず十分な報酬も得られて一石二鳥だ。金の一部がイルーゾォへの借金で消えるのを思い出して少し萎えたホルマジオ。それでも五回以上オンナと遊べるくらいはあるだろうと気を取り直した。
「んなこたぁどーでもいい!」
突如、ギアッチョが奮起した。据え膳を前に痺れを切らしたのだろう。彼の眠気はとうの昔――ロマーノがテーブルの上に札束を据えた時――にどこかへ吹っ飛んでいたのだ。
皆が気にしているというのはやはり自分の思い込みだったらしい。ホルマジオは、自分が解消したかった疑問とその解答をひっくるめてどーでもいいと称したギアッチョが何を喋り出すかと口を噤んだ。
「重要なのは、この大金の配分がどうなるのかということだぜ」
「……ギアッチョ。お前そんなに金にがめつかったか?」
日々、自分たちの能力に見合った金を出さないボスには鬱憤しか溜めていないギアッチョだ。金にがめついと言うか、彼はやっと得られた十分すぎるほどの報酬を前に、血気盛んになっているだけだった。
「おいイルーゾォ!てめーも何ずっと辛気クセぇバカ面引っさげてしょぼくれてやがる!元気を出せ!!」
「そうだぜイルーゾォ」
ホルマジオはそう言ってギアッチョの激励に水を差した。
「確かにあれはいい女だったが、人間には分相応ってもんがあんだよ。アラジンと魔法のランプって話知ってるか?今のお前はアラジンみたいなもんだ。アラジンはきれいな心を持っていたから結局お姫様と結ばれたが、お前の心なんて荒み汚れきってて、とてもじゃあねーが社長令嬢……というか幹部の娘なんかと逆玉の輿なんてことになれるわけ」
「うっせーてめぇはすっこんでろホルマジオ!オレが言いたいのはそういうことじゃあねーんだよ!」
「……はぁ?」
ギアッチョはすっくと立ち上がるとイルーゾォに迫り、彼の顎の下に両手を突っ込んで襟首を掴んだ。雪山で寝そうになっている登山者を寝たら死ぬぞと揺り起こすかのごとく、激しく揺さぶりながら叱咤激励を始めた。
「自信を持て!」
「ギアッチョ。イルーゾォ一応お前の先輩な」
「あの女とは案外いいカンジだったじゃあねーか!金に恵まれてる人間ってのは以外と愛に飢えていたりするもんだぜ!それに金を持ってりゃ男に金なんか求めねーはずだ!しかもお前はあの女の命を救ったんだ!ぜってーお前のことが好きだ!逃すな!そしてこっからが重要だ!ロマーノさんに気に入られろ!いいか!?てめーはいわばチームの広告塔なんだぜ!!塔と言うだけのたっぱもあるしとてもしっくりとくる!そんなお前が自信持って立ってねーでどうするよ!!」
「ギアッチョ……お前金のことしか考えてねーじゃねーか。なんてこすズルい」
「っせーなすっこんでろっつったろーがハゲコマシ!!」
「ハゲコマシって何!?」
ギアッチョが言いたい事とは要するに“ロマーノさん。今後ともパッショーネ暗殺者チームをどうぞご贔屓に”ということらしい。それにしても、ギャング組織の末端構成員と大企業の社長令嬢の恋路など険しいに決まっているし、先程のロマーノの態度を見ていればイルーゾォが気に入られるなど――貴様にお父さんと呼ばれる筋合いは無いとか言われていたし――絶対に無さそうなものなのだが、ギアッチョにそういう発想は無かった。
リゾットはやれやれと溜息をつくと、アタッシュケースの口を閉じてかちゃかちゃと音を鳴らして留め金をかけ直し、取手を握って立ち上がった。
「金ぇ!!金の分け前はどーすんだぁ!?」
「落ち着けギアッチョ。その話をするのは、ほとぼりが冷めてからでも遅くはない。……少し休んだらどうだ。疲れたろう」
リゾットはギアッチョをたしなめると、さっそくリビングの隅で尋問を始めていたプロシュートの元へ向かった。進捗を訊ねどうも芳しくないと分かると、すぐさま自身のスタンドで拷問を始めた。体の内側からカミソリやら釘やらで皮膚を裂かれ突き破られるという激痛に見舞われた男は、ダクトテープで塞がれた口をめいいっぱいに開いて悲鳴を上げた。
その様子を見ていたホルマジオは、ひえええとわざとらしい悲鳴を上げながら退散する。ギアッチョも釈然としないながらも退席して自室へと戻った。メローネはいつの間にか姿を消していて、ソファーにはイルーゾォだけが取り残されていた。イルーゾォは背もたれに背中を預け、天井を仰ぎ見た。
金なんかいらない。
イルーゾォがそう思ったのは生まれて初めてだった。と引換に金を置いていかれたような気分がしたからだろう。金かかと言うのならば、をここに置いていってほしかった。ロマーノにしてみれば、ほとんど手切れ金みたいなものだったはずだ。これ以上自分たちの人生に関わってくるな。イルーゾォはそんなメッセージを汲み取っていた。
関わってきたのはそちら様だし、引っ掻き回すだけ引っ掻き回してさようなら。そんなのあんまりじゃないか。
ロマーノがいた手前、彼女の居住地はおろか、次に会う約束すら取付けず終い。次はいつ会える?もう二度と、会うことすら許されないのだろうか。それとも、ギアッチョの言う通り自信を持って、彼女からの再度のアプローチを期待してもいいのだろうか。六時間後、例のレストランに行けば会える?いや、ミラノへ戻ると言っていた。それはあり得ないだろう。……考えてもみろ。幹部――ロマーノ・――に嫌われたら、それこそチームは破滅するんじゃないか?娘の命を救ってやったのだといつまでも恩着せがましい態度をとってにつきまとっていればそうなるだろう。恩着せがましいことを言わせないための、あの大金なのだ。
だがやはり、イルーゾォはに会いたかった。
運命を感じたのだ。とは結ばれる運命にあったのだとついさっき確信したのだ。だから彼女とは一時も離れたくない。まだ彼女と離れて十五分程度しか経っていないというのに、すでにイルーゾォはが恋しくてたまらなくなっていた。