New Rules

「ちゃーんとアイツに言ってやるんだ。お前が誰のモノかってことをしっかりと聞かせてやれ。これからお前をここから出してやる。……ただし、半分だけだがなァ」

 の太腿を撫で上げる手が、ゆっくりと彼女の中心へと迫っていく。その間、イルーゾォの唇が後ろから首をついばみ、鼻から抜けていく呼気が耳を擽った。彼女の身体はイルーゾォに与えられた刺激にしっかりと反応していたが、心だけは彼を拒絶していた。だがには分かっていた。拒絶して抵抗しようとも、彼の創造する世界の中では無駄なこと。今まで散々この世界には足を踏み入れてきたし、ある程度の自由も与えられてきた。だがそれは仕事だったからだ。

 この忌まわしい能力の餌食となったターゲット達には一瞬同情した。まるで猟師に捕らえられた動物にでもなった気分だ。そして恐らく、これから自分の身に起こるであろうことは、そんな捕らえられた動物たちが辿る運命と大して変わらない。「これはオレの獲物だ」と見せつけられ、もてあそばれる。だが、一縷の望みにかけてはイルーゾォに問いかけた。

「……冗談よね?」
「冗談?。オレはお前に冗談なんか言わない。……喋るのには上半身だけありゃあ充分だろう。下の口はオレが塞いでおいてやるよ」
「……いや、いやよイルーゾォ。……お願い、やめて……」
「ああ、。泣きそうな顔して頼み込んだってダメだぜ。オレはお前のことを思ってやってるんだ。お前がいつまでたってもホルマジオのことを忘れられねーから、オレが忘れさせてやるって言ってるんだぜ。痛い目にあわなきゃってのも、可哀想だが必要だからやることなんだ。お前が他の男のナニでよがらせられてるって知っちまえば、アイツは萎えてお前に幻滅して帰っていくだろう?そうすれば、アイツがお前に寄り着くことなんかもうなくなると思うんだよ」
「辱めて……それが私のため……?ここまであなたのご高説を黙って聞いていたけれど、全部、っ、冗談にしか聞こえない……」
「まあお前がオレの言っていることをどう捉えようと別に構わない。……それはそうと、お前が誰のモノかって理解したアイツが帰ってから、オレがお前のことを死ぬほど愛してやるよ。アイツのことなんかもうどうだっていいって思えるほど、気持ちよくしてやる。それを最高だと思わねーのかァ?」

 は会話の間、扇情的に耳元で囁かれながら身体を好きにされていた。片手で服の上から胸を揉みしだかれ、秘部に到達したもう片方の手はショーツと肌の間に滑り込んでいく。イルーゾォは中指を蜜壺に突き入れると、ふんと鼻で笑う。これ以上辱めてはやるまいと口を噤んだが、彼は自分の内に秘められていた嗜虐的な一面を抑えられなくなっていた。

 最初はという女を、完全に自分のモノにしたいという支配欲に突き動かされていただけだった。だから彼はホルマジオからを奪ったのだ。だが肉体的にいくら距離を取らせようと、の心はここにあらず。愛する男のことを忘れられない彼女に、いくら自分が愛を注ごうとも見向きもしない。ならば一度ずたずたに関係を引き裂いてしまおうと思った。――可哀想だが、と何度も言いながらも、彼は心のどこかで、泣いて自分に縋るの姿に欲情していた。

「んあっ……!」

 クリトリスを指先で掠められ、は悲鳴をあげた。  

「オレがお前を初めて抱いた夜、お前が本当に求めてるもんが何か分かるって言ったろう?」

 イルーゾォの指はゆっくりとした動きでの中を這った。恥丘に覆い被さった手の内側に向かって指を折りこまれ、尿道を押さえ付けるように何度も中を刺激され、の足には力が入らなくなる。たまらずは目の前の鏡に腕をついて、甘い痺れに思考回路を侵されまいと必死に頭を振った。

「いや、……いやよ、やめて……。んっ、ダメっ……分かんないっ……分かんないわよそんなのっ」
「いいや、お前は分かってるはずだぜ、。お前結局、ホルマジオのことを諦められないでいるくせにオレのことを受け入れただろう。それが何故かって考えれば簡単なことだぜ」

 執拗に同じ個所を攻め立てられながらも、は瞳に涙を滲ませながら必死にかぶりを振った。

「わかんない……」
「お前はなァ、。別に誰だっていいんだ。淫乱なお前のこのやらしい体を……慰めてくれる男がいればそれで」
「違う!そんなんじゃない……私、そんな女じゃないっ……」
「違わねぇさ。お前は根っからの淫乱で、こうやって鏡の前で恥ずかしいことされてたって実は興奮してるんだ。これから上半身だけ外に出されて後ろからオレにガンガン突かれたって、それをホルマジオの野郎に見られたって……淫乱のお前は恥ずかしがるどころか逆に興奮するだろうよ」
「いや!やめて……お願い、お願い……そんなの私、ホルマジオに見られたくなんかないっ……」
「さて、そろそろお喋りはしまいにするか。……それじゃあな、。行ってこい」
「やめてっ……!!」

 悲痛な声を残しは鏡の外へ、徐々に上半身だけを突き出されていく。は腰の高さで鳩尾周りを鏡面に固定された。固定された所はいくら手を使って抜け出そうとしても、足をばたつかせてみてもびくともしなかった。

 イルーゾォには彼女の上半身も、鏡を窓にして見渡せる範囲に限られるが外の世界も視認できる。この大きな姿見のおかげだ。彼は続けて彼女の股座に伸ばした手を動かして、荒々しく中を掻き乱した。声を出すまいと必死に口元を押さえながら、下半身をびくびくと揺らす彼女の姿を見て嘲るイルーゾォは、徐々に手の動きを激しくさせていく。たまにクリトリスを刺激してやれば、は弾かれた様に上半身下半身共々大きく揺らした。声は完全に漏れてしまっている。

 そろそろ気づくか……?

 イルーゾォは声を押し殺して身悶えるから、開け放たれた寝室の扉に視線を移した。彼の予想通り、の声に気付いたホルマジオが寝室に姿を現した。だが彼女の姿を見てもあわてて駆け寄るような“焦り”が見られない。この時、イルーゾォはホルマジオの態度に違和感を抱いた。そしてホルマジオはゆっくりとに近寄っていく。

『何されてんだ』

 彼もまたイルーゾォのスタンド能力がどんなものか知っているので、がこんなことになっている原因がイルーゾォにあるということを瞬時に理解できるのは当然だった。だがイルーゾォとが肉体関係を持っていることなどまるで予見していたとでも言わんばかりに落ち着き払った態度に、イルーゾォは苛立ちを覚えた。この目の前の男が狼狽えて、やめろとかなんとか喚き立てるところまで想像していたというのに。

『何も……されてないよ』
『お前この状況で何もされてないって言われて納得できると思ってんのかよ』
『……ごめん、ホルマジオ。帰って』

 イルーゾォはの発言にもイラついた。自分はもうオレのモノだと告げろと言ったはずだ。それをしないまま、この家からホルマジオを追い出そうとしている。イルーゾォはおもむろにズボンのジッパーを下ろし、充血して熱を持ったペニスを取り出した。手の平が上を向くようにの入り口に後ろから指を突き入れて、それをガイドにして自身の先端を宛がった。

 ったく……往生際の悪い女だっ……!

 そして、それを一気に奥まで差し込んだ。

『っあ、やだ、やめて……やめてイルーゾォ!』

 イルーゾォはの制止の声など意にも留めず、ゆっくりと快感を植え付けていく。

『お願い、イヤ、っあ、ああっ、言うっ……ちゃんと、ちゃんと言うから、やめてお願い……ホルマジオの前で、っ……こんなこと、しないでっ……!』

 自分の予期していなかったことが起こったことに対する苛立ちをぶつけるように、彼は抜き差しを繰り返した。するとホルマジオと目が合った。いや、正確に言うと、目が合ったように見えただけだ。彼からはイルーゾォの姿など見えないからだ。彼はあろうことか薄ら笑いを浮かべている。「しょうがねーなあ」と、いつものあの気だるげに吐かれる癇に障る口癖が聞こえてきそうだった。

 っちッ……こいつ何考えていやがる!?!さっさとオレが言った通りに教えてやれ!!

 声に出してもには聞こえないので、イルーゾォは心の中でそう叫んだ。一人の閉鎖された死の世界で、肌と肌がぶつかり合う音だけが響く。すると奥底を何度も激しく突かれ観念したのか、はホルマジオに向かって訴えた。

『もう、私っ……イルーゾォの女になっちゃったのっ!だから、もう、アンタに会っちゃダメなの……!帰って……お願い……』

 イルーゾォからの表情は伺えなかったが、声が震えていることから察するに彼女は泣いている。愛する男の前で辱められ、助けを求めたいという思いを必死に抑えながら、無理矢理離別のためのセリフを言わされているということが如実に伝わる声だ。イルーゾォは彼女のそんな声を聞いて、ほんのわずかな間満足した。だがそれも長くは続かなかった。

『バーカ。こんなエロい顔したお前を置いて帰れるかよ』

 ホルマジオの声が聞こえてきてイルーゾォは驚愕した。

 なっ……何だってェ!?

 彼に誤算があったとすれば、ホルマジオのプライベートで働く理性など、もともと叩けばすぐに割れて崩れ落ちてしまうガラスのように脆い物であると思慮できなかったこと。を“自分の女だ”と主張するために彼の前で掲げることなど何の意味も成さないかもしれないと、予見できなかったことかもしれない。



05:You ain't gettin' over him



 

「ほら、言えよ。イルーゾォのやつに向こう側で何されてるかよォ」

 ホルマジオはの顎を指先で持ち上げながら続けた。は恥辱を受けながら思った。

 自分が愛していた、あの優しい男はどこに行った?

 彼女は過去を振り返ってみたが、彼は今まで嗜虐的なセリフで欲を煽るようなことはしたことがなかった。いつもホルマジオは彼女を労わるように優しく抱きしめ、優しくキスをしてくれた。行為中にはほとんど喋ること無く互いを求めあっていた。嘲るような笑みを浮かべたホルマジオに見下ろされるなど初めてのこと。はたじろいだ。そして言葉を失う。

「いやまあ、大体わかるんだよ。お前の喘ぎ方でさ。お前突っ込んでやるまでほとんど声出さねーから……。どうせバックでガンガン突かれてんだろォ?そいつのモン突っ込まれんのがそんなに気持ちいいかよ?」

 そもそも期待してもいないのか、の返答など待たずにホルマジオは唇を彼女のそれに押し付けた。イルーゾォがペニスを奥へ打ち付けるのと同じタイミングで吐き出される喘ぎ声が、蓋をされたようにくぐもって聞こえてくる。妙な感覚だった。鏡の向こうの振動が伝わってこないので歯がかち合うことも無く快適にキスができるが、彼女がイルーゾォに犯されているということは規則的に吐き出される呼気でよくわかる。

 始めは「を奪われた」と怒りを覚えていたはずだ。だから、がイルーゾォに今まさに犯されているということに対しては怒るべきなのだろう。と、ホルマジオは頭では理解できている。だが今はそんな感情を上回る、どうしようもない劣情が彼を支配していた。

 本心ではオレを求めてるお前が、他の男に犯されて泣いてるって……エロすぎるだろ。

 新境地に達したような気分だった。ホルマジオは暗殺者なので、そういうシチュエーションになることが今まで無かったのだ。ひとりの女の身体を、他の男と共有していると意識することも無かったし、その女が自分に恋焦がれていることなど気に留めることすらなかった。もちろん女一人を寄ってたかって犯してやろうなんて、いかにもギャングらしい卑劣な行為に興じたこともなかったし、複数の女をはべらせてセックスに興じるなんて趣味も無かった。まさか自分にこんな性癖があるなんて、と彼自身が驚いていた。

 鏡の向こうに嫌味ったらしい同僚がいて、その男に見られているのも変な気分だが、このままの顔を見ていたい。

 ホルマジオはその一心で、手が届く範囲でを貪った。イルーゾォに尚も快感を植え付けられながら息を漏らす彼女の口内を舌で掻き乱し、ゆったりとしたシャツの襟元から覗く胸の谷間に手を差し入れて、膨らみをやわやわと揉んだり、突端を指先でいじったりして彼女の反応を楽しんだ。

 は上半身と下半身をそれぞれ別の男に弄ばれて混乱を極めてしまったのか、次第に抵抗しようと足掻かなくなっていた。熱に浮かされつつ、最後に考えたのは、この二人の男たちは一体どんな気分で自分の体を弄んでいるのだろう。ということだった。だがそんな疑問などぶつけるどころか、考える余裕すらも次第に無くなっていく。

 ホルマジオはキスを止めて、手は愛撫を続けながらに語りかける。

「なあ。オレはお前と離れるなんてイヤだぜ?……普段ツンケンしてるお前が、オレの前でカワイイ顔見せてくれんのがすごく良かったんだよ。すっげー癒されたんだ。だからオレはお前とずっと、いい友達でいたいって思ってるってのに……なんでオレと会わないなんて言うんだよ?別にオレは構わねぇぜ。そりゃあ今まではチームの誰も知らないお前の姿を見られるのがオレだけだって思えるのが……お前を独占できてたってのが良かったってのもあったんだが……今のお前の顔も悪くねぇ。すっげーそそられる。お前がイルーゾォと寝てるからって、オレは気にしねーから……もっとオレを楽しませてくれよ」

 は首を横に振った。嬌声以外が出てこない彼女の、精一杯の意思表示だった。悲哀に満ちた表情を見たホルマジオは再び薄ら笑いを浮かべ、彼女の後頭部に手を当てておもむろに立ちあがった。そしてズボンのジッパーを下ろしながら、持論を展開する。

「はあ。しょうがねーなァ。……。オレに言わせりゃあ、倫理観なんてモンほどクソなもんはねーんだが、お前はきっとそれに囚われてるんだよな。そんなもんオレ達に必要か?明日死ぬかもしれねーってのによォ。人生楽しまなきゃ損ってもんだぜ……。なぁイルーゾォ。お前もそう思わねーか?」

 太く反り返ったホルマジオのペニスを目の前に突き出され、は息を呑んだ。彼の悦ぶ顔が見たいと何度も舌を這わせ頬張ったそれが現れて、は自分でも信じられない欲求に駆られてしまう。彼女は離れ行く理性を必死に繋ぎとめようと唇を堅く引き結び顔を逸らした。だが抵抗空しく、ホルマジオの手で強引に顔を元の位置へと戻されてしまう。腫れあがった先端が、唇をこじ開けようと押し付けられる。

「ほら。いつもオレにしてたみてーに舐めてみろよ。イルーゾォに見せてやれ。お前がすっげーフェラ上手いって……教えてやれよ」

 ぐいぐいと押し付けられるそれを、は結局拒むことができずに受け入れてしまった。舌の上をすべるように喉の奥に向かっていく熱い塊。限界まで突き入れられて咳込みそうになると、それを察したホルマジオは腰を引いて、自分で口を動かすように促した。は条件反射的に口淫を始めてしまう。上にも下にも栓をされているようで息苦しかったが、彼女は確かに興奮していた。イルーゾォの言った通りになってしまっている現状が、彼女には信じられなかった。

「ああ、それとも、イルーゾォのやつももう知ってんのか?なんか変な気分だな……こういうのなんて言うんだっけか?穴兄弟?オレが先だからオレが兄貴だなイルーゾォ」

 ホルマジオは鏡に手をついて、鏡の向こうにいるであろう男に語りかける。挑発的で喧嘩を売っているとも取れる物言いだが、彼はただ単に楽しんでいるだけだった。既にイルーゾォからを奪い返そうなどという“下らない”独占欲をも、彼の精神は超越していた。



 そんなホルマジオを黙って見ているわけにはいかないイルーゾォ。彼もまた新境地に達していた。自分自身に貫かれながら、一心不乱に他の男へ奉仕するの姿にひどく欲情していたのだ。信じられない、あり得ないと思いながらも、彼は必死に腰を動かした。

「――ッ……!!」

 そしての中に己の欲を吐き出して一気に引き抜いた。力なく鏡からぶら垂れるの下肢。その太腿の内側を白い粘液が垂れ流れていく。

「クソ……ホルマジオの奴……一体何のつもりだ……?」

 客観的に見ればイルーゾォにはホルマジオへそんな問いを投げかける権利などないのだが、彼の世界では彼が絶対のルールだ。おかしいのは自分ではなく、いつも鏡の外の人間だ。絶対的な自分のルールにそぐわないホルマジオの行動に困惑を極めている彼の心情を知ってか知らずか、ホルマジオは鏡の向こう側から語りかけてくる。

『おいイルーゾォ。いつまでそっちにすっこんでるつもりだ?三人で楽しもうぜ。お前だってその気だったんだろ。それとも何か?テメーのがオレのもんより小さいんで怖気づいちまったか?おい。どっちがデカいんだよ?お前はどっちが好きなんだァ?』

 笑い交じりに煽られて、イルーゾォは完全にペースを乱される。

「ナメやがって……!」

 イルーゾォは能力を解除した。体が鏡から押し出され始め、突然身体が動き出したことに驚いて、は慌ててホルマジオのペニスを口から吐き出し床に突っ伏した。それと同時にイルーゾォもふたりの前に姿を現す。そして彼はホルマジオの襟元に掴みかかった。

「てめぇ、頭おかしいんじゃあねーのか!?帰れよ!!バカかてめーは!?」
「怖いなァー。そう怒るなよ。オレ、お前には感謝してるんだぜ?なんつーか、新たな発見っつーか、楽しみが増えたっつーか……。正直、オレも驚いてるんだ。お前がに余計なこと吹き込んでくれたおかげでオレがと寝れなくなったんじゃねーかって思った時は、ぶち殺してやりたいほど怒ってたんだが……今となってはそんな怒りがどっかに吹っ飛んで行っちまった」
「今はオレがてめーをぶち殺してやりたい気分だっつーんだよ!!」

 は床に尻をついたままふたりの言い合う姿を眺めながら思った。ふたりの男がズボンから息子を外に放り出したまま言い合う姿はひどく滑稽だ。彼女は今まで辱めを受けていたことをそっちのけにして呆れかえり嘲笑を浮かべていた。そんな彼女の様子に気付いたイルーゾォがを睨みつける。

「てめー、何笑ってやがる!」
「……だって、アホみたいじゃない。息子をズボンから出したまんまで喧嘩始めるんだもん」
「お前どうやらまだ懲りてねーみたいだなァ?オレが一回イッたくらいでダメになるとでも思ってんのか?もういい、思う存分犯しまくってやる!!」
「おいおいイルーゾォ。お前、オンナは敬えよ。あんまりひどい扱いしてやんな」
「どの口が言ってんだこの腐れ外道が!」
「お前にだけは言われたくねーな……。まあ、そういうワケだからよォ、。今度はオレの番な?」
「…………え?」
「何たまげてんだよ。まだ話は終わってねーんだぜ。……いいかホルマジオ。最後にこいつとハメさせてやる。だが明日から、に触れることはオレが許可しねぇ!!」
「だからよォ、オレは気にしねーって言ってんだろ。が誰と寝ようがよォ」
「おめーが気にしなくたってオレが気にするんだよ!!テメーなんぞと穴兄弟で居続けられるかバカ野郎!!」
「もう兄弟にはなっちまってんだぜ弟よ。諦めろ」
「誰が弟だ!?」

 ふたりの男が口喧嘩をしながらの体を持ち上げ、すぐ傍のベッドの上へと寝かせる。はすぐに起き上がり、ベッドから這い出て逃げようとしたが、イルーゾォに後ろから抱きつかれて阻止される。

「……逃げられるとでも思ってんのか?」

 イルーゾォにはシャツを下着もろとも剥ぎ取られ、露わになった乳房を後ろから両手で揉みしだかれ始める。ホルマジオはの中途半端に下げられたままだったショーツを完全に脱がせた後自身の衣服も脱ぎ去って、彼女の太腿の間に入り込んだ。

「おい。ホルマジオのもんが入っていくところをちゃんと見てろ。まずはお前がとんでもねー淫乱だって自覚するところから始めるんだ」
「いやっ、お願い、もうやめてっ……許して!」
「誰もお前を咎めちゃいねーよ。カワイイお前を、これからオレ達ふたりで立てなくなるまで愛してやるって言ってるんだぜ。……オラッ!!」
「――っ!」
「ああッ……!一ヵ月ぶりのお前のナカ……さいっこうにイイな。……これだから、やめられねえんだッ……」
「おい。なに目を逸らしてる。見てろって言ってるんだ」
「あっ、ああ、んやっ、やあっ、やめて……んっ」

 イルーゾォは胸を揉みながら、の顎を掴んで前を向かせる。ホルマジオに貫かれる度に艶っぽい嬌声を上げる彼女に愛欲を煽られ、彼のペニスは再び血液で満たされていく。の背後から抜け出したイルーゾォは、ベッドのヘッドボードに並べられていたクッションを代わりに置いて彼女の背を預けると、勃起したペニスをの視界にちらつかせた。

 ここまで来てしまっては、もう恥も外聞も無い。既にイルーゾォの能力による拘束が解かれているというのに、逃げ出そうという気など今のには少しも残っていなかった。自分は淫乱などでは無いとアピールするためにイヤだと口では言っていたが、実のところ彼女は今まで一度も感じたことの無い快感に身を委ねつつあった。

 はおもむろに差し出されたペニスに手を伸ばして頬張った。滑らかな先端の舌触りを楽しんで、キスをするように上下の唇で刺激を与えてやる。さらに竿を扱きながら、ちゅぱちゅぱと音を立てて口淫を続けた。口を塞がれて逃げ場を失った熱い呼気と共に嬌声が鼻から抜けていく。一方で、これまで止むことなく続けられていた律動が急に止んで、勢いよくホルマジオのペニスが抜け出ていった。両方の太腿を両手で押し上げられ、のぽっかりと開いた秘部がホルマジオの目に晒される。再び濡れそぼった割れ目に、上から杭を打つように肉棒を埋められる。結合部を見せつけるように律動が再開されたからか、の肉壁はホルマジオを酷く締め付けた。

「……なあ。オレだけとやってるときより感じてんじゃねーか?絞めつけがやべぇッ……。上でも下でも同時に咥えちまうなんて、まるでポルノ女優だな?」
「ほらな、。ホルマジオのやつもおめーが淫乱だって言ってる。いい加減認めたらどうだ。もう何も考えられねーくらいのぼせあがっちまって口もきけなくなったか?」

 イルーゾォはの乱れた髪を優しく撫で付けながら羞恥心を煽っていく。理性を完全に手放したの中で羞恥心は興奮に変わり行く。そしてふたりの男にバラバラに与えられる激しい快感を、はもっともっとと欲していた。
 
 ああ……こんなの、ダメなのに……。これはふたりの愛なの?ふたりの愛を同時にぶつけられてるだけなの?……こんなにおいしい話ある?絶対に罰が当たるわ。でも……こんなの知っちゃったら私……ホルマジオのことなんか一生乗り越えられない……。

 ホルマジオとイルーゾォは体力が続く限り、代わる代わるにの中へと精を流し込んだ。イルーゾォは、まるでが自分のものだと改めてホルマジオに示すためのマーキングを上書きするように。ホルマジオはとにかく体力が続くまで。彼はの中に最後に出したのがどちらかなど気にしてはいなかった。ただ純粋にこの状況を楽しんでいた。それが彼の本質だった。

 倫理観をくだらないと言ったホルマジオの言葉に、イルーゾォもも完全に呑み込まれていた。そうでなければイルーゾォはホルマジオの精液で満たされたの膣にペニスを突き入れようなどとは思わなかっただろうし、はふたりの男に体を好きに玩ばれることなど良しとしなかっただろう。正気の沙汰では無かったのだ。その所為で皆が新境地に達してしまった。

 そして今、三人は息を荒げて放心状態に陥っている。ベッドに身を投げて、ただただ天井をぼうっと眺めていた。性器は完全に麻痺している。快楽に侵された脳は考えることを止めていた。

 この出来事を幸と取るか否か。そんな思考ができるようになるまで、この三人にはもうしばらく時間が必要だった。
 




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