Give Me(w) Your Love!

 猫の何がいいって、遊んでかまってって常に付きまとってこないとこだよな。ほら、犬だとさ、あいつら飼い主に媚びへつらって飼い主以外には見向きもしねーで、そんかしすっげーかまってほしがるだろう。ちょうどいい距離感とか、そういうのが無いんだよな。そういうのが疲れるって言うかさ。それがいいってヤツが犬好きなんだろうがオレは違う。ずっとつきまとわれんのは面倒だし、餌だけやってりゃたまに甘えてくるくらいがちょうどいい。普段ツンケンしててこっちが触りたいときには触んなって噛みついてきたりしてさ。そんでこっちが大してかまってやろうって思ってないふとしたときに、ちっせー額を手の甲やらスネやらに擦り付けてくんのがたまんなくカワイイじゃねーか。そこがいいんだよな。普段媚びないけど、たまに甘えてくる、そういうところがたまんなくカワイイってオレは思うんだよ。

 構いすぎると嫌われるってのは分かってるんだ。オレはついつい構いすぎちまうタイプだから、大概猫には嫌われる。でも仕方ねーよな。ふわふわしてて柔らかいあの体、ついつい触りたくなっちまうだろ。いきすぎて腹まで撫でるといけない。腹は奴らにとって急所なんだよな。腹を触られるのは滅茶苦茶嫌いなんだ。嫌がってんのに長いこと抱き上げとくのもいけねえ。奴らは自分の足で地に立ってないのを酷く不安がる。だから好きだと思ってもまともに触らせてもらえないんだよ。お預け食らうんだよ。まるでこっちが犬になったみてーな気分だ。ああもういいよ、お前の言うこと何だって聞くから、頼むから触らせてくれ、キスさせてくれ、一緒に寝てくれ……。

 この気持ち誰かわからねーか。

1:オレと新入り、あるいは白日夢中の美猫

 新入りが女と聞いてホルマジオはにやけてつり上がった口角を仲間に見られまいと手で口元を覆った。にやけ顔が落ち着いてくると、そのまま顎を撫でて手を下ろした。

 新入りは金が無くて家も借りられず、この男だらけのアジトに居候すると言うのだ。そんな話をリゾットから聞いて舌なめずりをし、皆の前で興奮を隠さないメローネにチームの目線が集中する。眉根を寄せて嫌悪感を露わにするプロシュートにペッシ、イルーゾォとギアッチョ。そんな彼らを見てホルマジオは思う。どうせお前らもたかまってんだろ。と。だが自分だけメローネに「変態は頼むから黙ってろ」という視線を向けないでいると怪しまれてしまう。しょうがねーな。と呟いて、ホルマジオはメローネに遅ればせながら呆れ顔を向けた。

「くれぐれも」

 リゾットは少し語気を強めて皆を牽制する。

「変な気は起こすな。女だからってナメてかかると痛い目を見ることになる」

 そう聞いて、皆思い思いに女の姿を想像した。各々の脳内に自身の好みをここぞとばかりに詰め込んだ夢の産物ができあがる。ホルマジオの産物はこんな感じだ。ぴったりとしたラテックス製の黒のライダースーツを身に纏い、カワサキのスーパースポーツに跨って機関銃を振り回す女。実際にこのナポリの街でそんな映画の世界から飛び出してきたような女の殺し屋など見たためしは無いが、ホルマジオの頭の中はフリーダムだった。別に彼の脳内で出来上がったビジョンを口にして皆に押し付けている訳では無いので、何を想像して鼻の下を長くしようと彼の勝手である。黒のぴったりとしたライダースーツで浮き彫りになった乳や尻に顔を埋めたい。ホルマジオは再びにやつき始めた口元を手の平で覆った。メローネが何を妄想しているかなど想像もしたくなかったが、自分も大概だな、と彼は自分にも呆れた。とにかくホルマジオは、どんな女が来るにせよ新入りに会うのが単純に楽しみだった。 

 例の新入りはいつやってくるんだ。そんなことを皆口にはしなかったが、ホルマジオが見る限り皆そわそわと落ち着きがないようだった。そしてリゾットから新入りの話を聞いて一週間が経った頃、そわそわと浮足立ったチームの元にその女は唐突に姿を現した。

 リビングに通された女の後ろにリゾットがついている。リビングには皆がいるわけでは無かったが、暇を持て余した何人かがたむろしていた。女は立ち止まると凛とした瞳でリビングを見据える。運の悪いことにここにはメローネがいて、彼はいつもの不躾極まりない質問を、名前も何も名乗らず聞きもしない内に投げかけた。

「キミ、健康状態は良好かな?今後のために聞いておきたいんだが、セックスするときの好きな体位は」
「おいメローネ。お前マジで少しは自重しろ。んでしばらく黙ってろこのド変態が」

 プロシュートは人差し指をメローネの額に突き付けた。

。これからここに住むわ」

 女はメローネに早速セクハラという洗礼を受けるが、それを然して気にも留めない様子でさらっと自己紹介を済ませ、パンパンに膨らんだリュックサックを肩から降ろし一息ついた。ひどく声が小さい。少なくともハキハキと喋る溌溂とした性格ではないようだ。ホルマジオはと名乗る女をじっと見つめた。

 ……どっかで見た時でもあったかな。

 そう思って過去を振り返る彼だったが、ぱっと短時間で振り返っただけでは、この新入りにいつどこで会ったという確かな記憶は蘇らなかった。だが印象的なその凛とした眼差しには既視感を抱かずにはいられなかった。確かに、以前どこかで見たことがあるのだ。前にどっかで会ったことあるよな?なんて女をナンパするときの常套句を口から吐き出す前に何か他のことを話しかけたい。リゾットに促されるまま彼女のためにと用意された部屋へ向かう新入りに、ホルマジオは近寄りながら笑いかけた。

「リゾットが連れて来たんだ。オレはお前を信用するぜ。よろしくな、オレはホルマジオってんだ」

 ホルマジオはそう言って手を差し出すが、はその手を訝し気に見つめるだけだった。その後、そう簡単に私に触れると思うなよ、とでも言いたげな目を彼の顔に向けて「……よろしく」とだけ呟いてそっぽを向いて歩き出す。

 参ったな、嫌われちまったか?

 ホルマジオは腰に手を当て頭を掻きながら自分から離れて行く新入りの後姿を眺め、扉の向こうへ消えていくまでを見届けた。扉が音を立てて閉じられると、張りつめた糸が切れた様にリビングにいた皆が口を開き始めた。

「第一印象はよくねーな。態度が気に食わねェ」

 プロシュートはソファーでふんぞり返ってという新入りについて感想を述べた。彼は割と上下関係を気にするタイプだ。新入りが男だろうが女だろうが関係ない。新入りのくせに先輩にあたるホルマジオが感じよく歓迎してやっていて、握手を求めているにも関わらずそれを拒むなど言語道断だった。ただ女なので、なめくさった態度をとるんじゃあねーと蹴りを食らわせられるというプロシュートからの洗礼を受けずに済んだ。彼はいくら気に食わない態度を取られても女に手を上げるような男ではない。直近でプロシュートに焼きを入れられたのはペッシだった。この場にいない彼が先ほどのの態度を見ていたらきっと羨ましく思うことだろう。

「仕方ねーんじゃあねーかァ?男ばっかで緊張してたんだろ。それにしたってなかなかカワイイ顔してたじゃあねーか。スタイルも抜群とまではいかねーが、結構いい体つきしてたぜ」

 握手を拒絶されたにも関わらずホルマジオは懐の広さと下心を見せる。チーム内での上下関係に厳しいプロシュートに対し、ことさら女に甘いホルマジオは肩を竦めながらソファーに戻ってすとんと腰を下ろす。

「お前の頭の中はそればっかか。カワイイからってなまっちょろいことばっか言って甘やかしてると、なめられて挙句仕事でヘマやらかしかねねーんだ。……誰かが教育してやらねーとな」
「教育ならオレに任せて欲しい」
「メローネ。お前の言う教育はオレの言ってる教育と違うんだ。黙ってろって言ったんだからオレが喋っていいと言うまで黙ってろ」
「ところで、彼女のスタンド能力についてリゾットから話を聞いたことはあるか?」

 プロシュートは自分の言うことなど全く意に介さず口を開き続けるメローネに閉口して眉間に皺を寄せた。今しがた彼が喋った内容についてはプロシュートの検閲に引っかかるワードは含まれていなかったので、彼は渋々メローネに喋るなと強要することを諦める。

 この暗殺者チームに配属されるのだからきっとスタンド能力を持っているのだろう。生まれつきか、幹部ポルポの入団試験を受けたか……どちらにせよ、暗殺に役立てられる能力があるからはここに来たのだ。

 仕事は基本ツーマンセルで行った。相性のいい能力同士でタッグを組ませ、最も効率の良い手段で暗殺を済ませるというのがリーダーであるリゾットの方針だ。そのため、仕事を振るリゾットは本人と同等かそれ以上にしっかりと部下たちの能力について把握しておく必要がある。そういうこともあってリゾットは既にの能力を把握しているのかもしれないが、彼以外には事前情報など、新入りが女であるということ以外何も知らされていなかった。したがって、メローネの問いに答えられる者は誰もいない。

「まあ、そのうち分かるだろ。何にせよ、の教育係はオレに任せろよ」
「……心配だな。くれぐれも女だからって甘やかすんじゃあねーぞ」

 ホルマジオは第一印象以外の情報が何も無いという女を、おそらくチーム内の誰よりも寛大な心で迎え入れていた。彼女の性格もスタンド能力も、これからゆっくり知っていけばいい。仕事の話はリゾットとかプロシュートあたりに任せて、オレはオレで彼女がこのチームで存分に活躍できるように気配りしてやろう。

 恐らく新入りが小生意気な男だったなら彼は絶対に自分から教育係を買って出たりはしなかっただろう。では何故彼は、しょっぱなからツンケンした態度を取られたにもかかわらず、を寛大な心で迎え入れたのか?それは彼が、彼女に会ったことがあるような気がして勝手に親近感を抱いていて、加えてそんな彼女がホルマジオの目には魅力的に映っていたからだった。



 がアジトに初めて訪れた日の夜、彼女はリゾットに促されて皆が集まるリビングに呼び出された。歓迎の意味も込めて開かれた酒盛りで、男たちはの気を引こうと躍起になっている。昼間あれほどの態度が気に入らないと豪語していたプロシュートも、酒が入った今となってはただの気のいい兄ちゃんになり下がっていた。

 そんな賑やかな雰囲気の中にあっても居心地が悪そうな表情を浮かべて口を一向に開こうとしないだったが、テーブルの隅に誰も手を付けていないクワトロフォルマッジを見つけるやいなや、身を乗り出してそのひとピースを掴み取った。ふんだんに乗せられてとろける熱々のチーズを口とピザの間で引き伸ばしながら、恍惚とした表情でそれを頬張る。隣に座っていたホルマジオは、今まで散々ツンケンした態度で身を縮こまらせていたの意外な姿を見て顔を綻ばせた。

「何だ?そんなに腹減ってたのかよ?お前チーズが好きなんだな」

 は顔を真っ赤に染めて恥ずかしそうな顔をすると、ピザを持つ手と咀嚼を止めた。しばらくホルマジオの顔に見入った後、はっと我に返った彼女は、彼から勢いをつけて顔を逸らし残りのピザを口に詰め込んだ。ソファーについてから一口も飲んでいなかった赤ワインでピザを胃に流し込んだかと思うと、息もつかせぬ速さでソファーから立ち上がり戸口へと向かう。

「おい。どこに行くんだよ。これお前の歓迎会――」

 バタン。と音を立てて扉は閉まる。ホルマジオは身を少し乗り出して、彼女の消えていった扉をしばらく見つめていた。を追いかけて連れ戻そうかとも思ったが、こういった飲みの場が嫌いな女だっているだろうし、無理に連れ戻す必要もないかと思って彼は背もたれに背を預ける。すると、ホルマジオが話しかけた後にが慌てて部屋を飛び出したので、何か至らないことでも言ったんじゃないのかと、このパーティの主役がいなくなってしまったことを不服とする者から非難を浴びることになった。彼は弁明のつもりで彼女に言ったことをそのまま伝えたが、「セクハラだな」「ああ、セクハラだ」などと酔った頭に思い浮かんだ言葉をそのまま吐き出されて終わる。そんな酔いどれ達に真相など分かってもらおうと思う方がバカだった、とホルマジオは吐息を漏らした。

 教育係を買って出たはいいものの、案外手こずりそうだとホルマジオは先行きを心配した。そんな心配も束の間、彼女が見せた意外な一面とその表情――ただ食い気に負けて旨そうにピザを頬張っているだけだったが――を思い出して、ホルマジオは可愛かったなあと鼻の下を伸ばすのだった。

 主役不在のまま酒盛りは終わりを迎え、チームの面々は片付けもほどほどに自室へと戻っていった。明日の朝、きっと誰かが二日酔いで痛む頭を持ち上げて舌打ちでもしながら片付けをするのだろう、と皆が無責任なことをぼんやりと思い浮かべていた。

 ホルマジオは自室のベッドに寝転がり天井を見つめていた。ベランダの窓から入ってくる夜風が心地よい。彼はぼうっとしたまま自然に眠気が襲って来るのを待っていた。そんな彼が思い浮かべるのはのことだ。まるで借りてきた猫みたいに警戒心をむき出しにして一言たりとも喋らず隅っこで縮こまっていた。そうかと思えば旨そうな飯を目にした途端警戒を解いてピザに食いつき、幸せそうな笑みを浮かべる。可愛いヤツだなって言ってやりたかったのに、そんな風にオレが絡む前に尻尾を巻いて逃げ出して。まるで猫みたいなやつだ。

 可愛らしい新入りの姿を思い浮かべながら目を閉じている間にホルマジオは微睡んでいた。こくりこくりと頭を揺らし、そろそろ深い眠りに落ちるだろうという時だった。ふさ、と彼の頬や鼻先に何かが触れた。慣れないその感覚に驚いた彼の脳は瞬時に覚醒し、反射的とも言っていい速さで上体を起こして壁に張り付いた。目を見開いて自分が寝ていたベッドの上を見やる。

「にゃーっ」

 そこにいたのは白く豊かな被毛を纏った一匹の猫だった。ホルマジオは猫は好きだったが、ペルシャだとかアビシニアンだとかいう猫の種類まで言い当てられるほど詳しいわけではない。おおざっぱな括りで言うところの、所謂長毛種というやつで、先ほど彼の鼻周りにふさっと被さってきたのはその猫の長い毛だったのだ。

「お前いったいどこから……」

 夜風がホルマジオの頬を撫ぜて、彼は察する。窓を開け放ったまま寝ていたのだ。ベランダから侵入してきたのだろう。それにしても、野良猫には見えないほど美しい猫だ。見た所野良猫によく見られるような薄汚れた感じだとか、目の周りに纏わりつく黒や黄色の目やにの類は一切見られない。そして驚くことにその猫は、先程ホルマジオが勢いよく起き上がった時に飛び上がったりもせず、彼の顔を擽った時と変わらぬ位置で静かに佇んだままだった。ベッドに顎をぴたりとくっつけて、上目遣いでホルマジオの様子をじっと見つめている。

 ホルマジオは誘われるように恐る恐る猫に手を伸ばした。彼は猫は好きだったが、野良猫に近寄っても基本的にすぐ逃げられた。ごくまれにアジトに迷い込んできた猫に餌をやったりして、その礼としてすこしだけ撫でさせてもらう程度のふれあいしか猫には許されなかった。だから今回も逃げられるのではないかと思った。だが、猫は逃げなかった。むしろホルマジオに触れられた瞬間からごろごろと喉を鳴らして心地よさそうに目を閉じる。

 うっ……うおおおお!なんてかわいいにゃんこだ畜生!

 ホルマジオはテンションがぶち上がった。猫とのふれあいでこんな感動を味わったことなど今まで一度も無かったのだ。喉を鳴らした猫に長いことなでさせてもらえるなど、人生で初めての経験だ。ホルマジオはゆっくりとした動きで再び身を横たえて、猫の傍に頭を置いた。ごろごろという猫特有の喉から鳴る音を、こんなに近くで聞いたのも初めてだ。

「お前野良じゃねーよな。どっかいいとこの飼い猫かァ?でもここいらに金持ちの家なんかねーしなァ……」

 ホルマジオは寝ながら猫の顎下に指を滑り込ませ、ごろごろと振動する喉を擦ってやった。猫も猫ですこぶる機嫌がいいようで、身体をくねらせながら頭頂部をベッドへと擦り付け腹を見せたかと思うとぱっと起き上がり、ホルマジオの顔に額を擦り付ける。

「ちょ……くすぐってーよ。ああもうこんなんじゃ眠れねーじゃねーかよ」

 猫相手にぶつぶつ言うホルマジオの顔は完全ににやけ面だった。こんな表情仲間には絶対に見せられない、などという自制心すらまともに働かせず、彼は猫との触れ合いを楽しんでいる。

「おいにゃんこ……お前、オスかメスか……どっちなんだよ」

 彼が何故そんなことを気にするのか。理由はこうだ。もし野良猫ならばオスだった場合去勢されていない可能性が高く、所謂スプレー行為という縄張りを主張する習性を発揮して尿のような液体で部屋を汚し、なかなか落ちないニオイを付けられてしまうかもしれない。もしこの猫がたわわに実った陰嚢を尻の穴の下にぶら下げていたら――つまりオスだった場合――心苦しくはあるが早急に退去願わなければならない。

 ホルマジオは猫の尻尾の付け根あたりを撫でた後、例の場所に指先を伸ばす。良かった、メスだ。ホルマジオは追い出さなくても済むことに安堵しつつ、引き続き豊かな被毛に顔を埋めつつふさふさとした感触を手のひらで楽しんだ。そうやって幸せな時間を過ごしているうちに、彼はいつの間にか深い眠りに落ちていた。



 翌日の朝7時頃ホルマジオが目を覚ました時、あの白い猫の姿は無かった。彼は少しだけ物悲しく思いつつ、猫がいたはずの場所に手を伸ばす。出て行ったのはついさっきという訳では無いようだ。彼が手を置いた場所はすっかり冷たくなっていた。もしかすると、あれは夢だったのかもしれない。そう思えるほどあの猫は美しかった。首輪はしていなかったが、野良猫であの美しさはあり得ないと言ってもいい。だから彼は夢だったのだと思い込んで落胆した後、ベッドから抜け出して伸びをした。

 シャワーでも浴びてメシ食うか。

 ホルマジオは夢だと断定したあの猫との触れ合いを思い出しながらキッチンへと向かった。でも夢にしては、だいぶリアルだった。ホルマジオは手のひらをみつめながら思った。

 あのにゃんこ、また今夜も部屋に来てくんねーかな。

 夢でもなんでもいい。またあの猫を撫でまわしたい。ホルマジオはいつもの朝より何割り増しか上機嫌で階段を降りていった。