Rock Pool

 夏だ海だ海水浴だと、暇を持て余した暗殺者達が近場の海水浴場に来ていた。ちなみに、チームの皆ではない。

 リゾットはわざわざ日焼けしに行く意味が分からないと、プロシュートはシミになると言って、またその舎弟ペッシは海水浴より釣りが好きだからと、言い出しっぺの誘いを断った。

「ったくよー、日焼けするからとかシミになるからとか、オトメかってんだよ」

 言い出しっぺ、ことホルマジオが、パラソルの下で仰向け寝のまま両肘を立て、上体を起こした態勢で吠えた。その憤懣にメローネが応えた。

「リーダーは異様に肌が白いからな。日に当たっても焼けないタイプだ。紫外線を受けた時のメラニン色素の合成能力が低いから、皮膚ガンになるリスクが高い」

 リーダーを擁護すると言うより、ただ知識をひけらかされたような気がしてホルマジオは顔をより一層にしかめた。
 
「うるせーよんなこと知るかッ。プロシュートの野郎も、どーせ老化したらシミとシワまみれのクソジジイになることくらい分かってるくせにによォ!」

 イルーゾォは鏡の前に立ち、入念に自分の肌のコンディションをチェックするプロシュートの姿を思い出して言った。
 
「その姿に、すでにシミが多かったから気を付けよーと思ってんだろ。つーか、あいつが来たらオンナというオンナを片っ端からかっさらわれちまうし、最悪ぴーきゃーやかましいぜ! と言って追い払うしでかえって迷惑だ。あんな野郎、来なくて正解だ」
「だがよ、我がチーム生粋のオトメであるが付いてきてくれたっつーのに。あの図体のデカイオトメたちときたら……。ペッシに至ってはよォ、おめーがビーチにいなきゃ一体誰がビーチ・ボーイなんだよ!? って話だぜ」
「名前負けしてるよな」

 今、一般の海水浴客に紛れ、眼の前を行き交う女性の水着姿を目で追いながらパラソルの陰で昼寝をしているのは、ホルマジオ、イルーゾォ、メローネ、ギアッチョの4人だった。件の紅一点、はというと――

「おい、てか。はどこだ」
「……そう言えば、便所言ってくるって言った後から見てねーな」

 ――最近チームに配属された新人なのだが、リゾットに「一人で歩かせるな」と言わせるほどの方向音痴だ。そんなことで暗殺者が務まるのか、と言われそうだが、事前情報や地図があればその内容は一度見たら忘れないし、人間のニオイや気配にも敏感なのでターゲットも逃さない。

 だが、今回は仕事で来ている訳では無いし、事前に地図など見せているはずもない。トイレに行くと言うより、おそらくはトイレを探し回っているであろう彼女は今、トイレとはまったく見当違いの明後日の方向に向けて歩き続けているのかもしれない。

「ああ、やべぇ……。リゾットに殺される。オレ、探しに行ってくるわ」
「おう。頼んだ」

 ホルマジオは持参したクーラーボックスからしこたま氷を取り出して紙コップに入れ、ソーダを注いで蓋をすると、真ん中にストローを突き刺して立ち上がった。他3人がホルマジオの背中を見送る。

「面倒見のいい兄貴分だこと」

 メローネがボソッと言った。すかさず、イルーゾォがニヤケ顔で言った。
 
「実のところ、口裏を合わせてどっかにシケこむつもりでいんじゃあねーかァ?」



 残念なことに、一切そんなことはなかった。は本当に迷っていた。トイレを探して三千里だ。その道中、何故か浜辺を南に向かってひたすら歩いた先にある岩場のあたりで、膀胱をはち切れんばかりに膨らませていた。

 トイレを探して、なんでこんなところに来てしまったんだ。

 は360度見渡してしゃがみこんで頭を抱え、この状況を知れば十中八九皆がそう彼女に問うだろうということを、自分に問うていた。

 の頭は、広い公営の駐車場でギアッチョの車から降りた際、その一画に公衆トイレがあったことを覚えていたし、足はそこへ向けて歩いているはずだった。なのに、歩けども歩けども、浜辺から崖上へと上がる階段が見えて来ないのだ。彼女が居るのは、皆が寝そべるビーチから見て南といえば南なのだが、入り組んだ形をした海岸沿いを歩いたおかげで、彼女の粗末な方向感覚はおおいに狂ってしまったのである。いや、白状な兄貴分たちが見ていてくれればよかったのだが、初歩から完全に間違っていたので、元から狂いきっているか、そもそもそんなものは備え持って生まれなかったという方が正しい。

 ここまで来てしまっては、仮に――かなり望みは薄いが――正しいトイレの位置が分かったとして、そこに向かって歩いて行っても間に合わないだろう。

 辺りに人気はない。それは確かだった。ならば、岩場で小水を垂れようと、誰も気には留めるまい。この国の下水道の普及率なんて知れたもの。街から遠く離れたこの辺りとあっては、確実に下水道など普及していない。良くて汲み取り、最悪上澄みはたれ流し。それを皆本当に知らないのか、知っていてなお気にしないのかは知らないが、楽しそうに海で泳いでいるのだから。

 ああ、とは言ったものの、大の大人になって、こんな……。本当に、今回ばかりは、自分の方向音痴を心から恨むわ。

 が前かがみになって、タイサイド・ビキニのショーツを降ろそうと手を下へやった、まさにその時のことだった。

「おい、。おまえ、こんなとこで何やってんだ」

 が密かに思いを寄せている、兄貴分の声が背中の方から聞こえてきた。

 ああああああっ!! マンマ・ミーア!! もっと早くに済ませりゃ良かったあああああぁぁぁっ!!

「せ、先輩っ!」

 は慌てて体勢を立て直し、ホルマジオに向き直った。ホルマジオは額に吹き出す汗を腕で拭いながら、手に持つ紙コップの中の飲み物を吸い上げ、ごくりと飲み下した。魅惑的に動く喉仏。そのそばでは、首筋に沿って汗が流れ、汗は鎖骨の間を通って逞しい胸の谷間から腹筋の谷間へ、さらにその先へと向かって落ちて行く。

 ああ、直視していられない。いや、これが見たくてホイホイ誘いに乗ったのだが、実際に真正面から見てみるととてもじゃあないが色気が半端では無く、大して男性経験に恵まれてこなかったには刺激が強すぎた。

「どうした、ぼーっとして。まさか、熱中症にでもなってんじゃあねーだろうな」

 ホルマジオはドリンクをに差し向けながら言った。これ以上溜められないのに水分をつぎ込もうとするんじゃあないと言うように、膀胱がきゅっと縮み上がるのを感じた。
 
「い、いやいや、大丈夫っ。なっ……なんでここが分かったの!? 自分ですら今どこにいるか分かってないのに!! 神なの? って、思ってっ」
「おまえのことだから、どーせワケわかんねー方向に向かって歩いて行ったんだろうなとあたりを付けてテキトーに歩いてたら、案の定おまえのっぽいサイズの足跡がひとつだけここに向かってたんだよ。ったく、しょうがねえなァおまえってオンナは。……ほら、帰るぞ」

 ホルマジオはの手首を掴んで元の場所へ連れ戻そうとした。しかし、岩に括り付けられたかのようには動かない。振り返ると、顔を真赤にした彼女がぽつりと呟いた。

「さ、先に行ってて」
「はぁ? これ以上ほっといたらマジでおまえを見失っちまうぞ、オレは。ほら、ごちゃごちゃ言ってねーで、来い」
「んっ……お、お願い、します。先輩。すぐ、後をおいかけるのでっ」

 言えない。おしっこが漏れそうなんて、口が裂けても。ホルマジオじゃなかったら、いくらでも言えたのに。ホルマジオじゃなかったら! なんで、こんなときに、よりにもよってっ!!

 は泣きそうになっていた。そして、我慢の限界がすぐそこにまで迫っていた。

「なんだ、おまえ……もしかして、まだ小便してねーのかよ」
「っ!! でっ、デリカシー!!」

 察しの良さをデリカシーの無さが上回って怒りを覚えた瞬間だった。
 
「ならほら、さっさと済ませろ」

 た、助かった。……いや、私の乙女心は大ダメージを受けて、今後回復の見込みはないほどの傷を受けたけど。

 と、再びその場で腰を降ろそうとしただったが、背後のホルマジオの気配が消えていないことに気付いて小首をかしげた。

「あ、あの……。ひとつ聞いていい?」
「んだよ」
「なんでこっち見るんですか。せめて目の届くギリギリの所まで遠ざかって、その上で背中を向けませんか、フツー。あんた、少しは紳士らしさってもんに持ち合わせがないんですかっ」
「だから、方向ド音痴のおまえから目をはなせねーって言ってんだろ。この面倒見の良さが紳士らしさのカガミだろーが。ほら、さっさと済ませろって」
「済ませられるかっ」
「ったく、しょうがねえなァ。なら……」

 ホルマジオはをもう後退できないというところまで追い込んで、彼女の目と鼻の先で呟いた。

「手伝ってやるよ」
「はあっ!? な、何言って――」

 ホルマジオの両手が伸びてきて、無骨な指がの履くショーツの両サイドにある紐をするっと解いてしまった。

「あっ」

 あまりの衝撃に身動きを取れない。そんな彼女をよそにホルマジオは飄々と砂地に落ちたビキニショーツを取り上げて、岩に干すように置いた。依然として、その顔はに向けられたままだ。後にホルマジオは言った。

「ほら。これで、するしか無くなっただろ?」

 は、知っていた。この男の本性を。一見、優しげに微笑んでいる男の、目の奥に潜む、サディスティックな一面を。



全部、さらけ出したら、愛してくれますか。



「あ、もう、だめ……我慢、できないっ」
「我慢なんか体に毒だぜ。さっさと出して楽になった方がいい」
 
 状態は更に悪化していた。ショーツを剥ぎ取られた後、何故かは後ろからホルマジオに羽交い締めに抱きかかえられ、岩の上で、彼の長い両足を使って無理やり開脚させられていた。の背中とホルマジオの胸から腹にかけてが汗に濡れて密着する。その上、耳の裏側から低く扇情的な声で囁かれ、は抵抗できないでいる。抵抗するどころではない。好きな男の目の前で小便を垂れるなんて絶対にイヤなので、外尿括約筋を引き締めるので精一杯なのだ。

 羞恥心と悔しさと、情けなさとでぐちゃぐちゃにかき乱されたのメンタルもすでに限界を迎えていて、涙はとめどなく溢れてくる。

「せんぱいっ……なんで、こんなひどいことっ……許して、くださいっ……私、もう、こんなの……無理、恥ずかしくて……っ、もう死んじゃいたいっ」
「何大げさなこと言ってんだよ。ほうら、あそこ。潮溜まりの中にカニさんがいるの、見えるか? おまえがおしっこすんの待ってるみてーだ」
「いやっ、やめて……もう、許して」

 泣きながら訴えたところで、火に油を注ぐようなものだった。には何故そうなるのかがまったく分からなかったが、彼女の尾てい骨のあたりで、ホルマジオのペニスが熱く質量を増していくのを感じていた。サディストは今まさに、排尿をこらえ震える後輩をいじめて悦に入っているのだ。

「あー、そうだ。おまえ、もう随分と水分取ってねーよな。この炎天下じゃあ、ちゃんと水分補給しなきゃダメだぜ」

 ホルマジオは岩の窪みのちょうどいいところに置いておいた紙コップを手にとって、ストローで吸い上げたソーダを口に含むと、涙に濡れたの顔を右上に傾けた。

「ん、せん、ぱい、何をっ――」

 そして口移しで、少しぬるくなったソーダを飲まされる。迫りくる水圧に負けて、しぶしぶ飲み下した後になってもホルマジオの唇は離れること無く、の歯列を割って侵入してきた舌が、遠慮なく口内をまさぐり始めた。

「んっ、ふっ……あっ、ふぁっ」
「ああ……あめぇ。……おまえの和らけぇ唇……熱い口の中……うますぎて……ヤミツキになっちまいそうだァ」

 ホルマジオの、キス。あまりにもディープで、エロティックで、身も心も蕩けてしまうほどのそれによって、すでにほとんど形を失くしていたの反抗心が消失した。されるがままだ。後ろの男が何を企んでいるのかもほとんど考えられない。分かるのは、こんな状況においても未だに緊張を解かないでいる気丈な下半身のこわばりだけ。けれどそれも、飲まされたソーダ程度の些細な水圧が加わるだけで、いよいよ決壊しそうだった。

 漏らさないようにと緊張したの体を唐突に、電流が駆け抜けた。刺激の元を見下ろすと、ホルマジオの指先に氷の塊があって、それが乳房の上を這っているのが見えた。

「それにしても、なんでTシャツなんか水着の上に着てんだよ、もったいねえな。おまえのカワイイ水着姿が拝めると期待して誘ったってのに。まあ……これから脱がせばいい話だし、それはそれで楽しいけどなァ」

 クククと喉の奥で笑いながら、ホルマジオはTシャツの上からビキニトップスをずらした。痛いくらいに主張を始めた乳房の突端に、氷が滑る。

「うっ、んあっ……!」
「シャツの上からでも、乳首がびんびんに固くなってるのがよおーく見えるぜ。……やらしいな。オレに触ってほしいって、しゃぶってほしいって、主張してるみてーだ」

 冷たい指先が、突端を中心に右へ左へ上へ下へと動く。ゆっくり、時に早く。氷があてがわれているのと反対側の乳房は、ホルマジオの手のひらが下から掬い上げていて、その上でやわやわと揉みしだかれていた。
 
「あ、だ、ダメっ……せん、ぱあいっ……あ、ああっ」
「しょうがねぇなァ。……んなカワイイ声で鳴くなよ。もっとイジメたくなっちまうだろうが。それでよけりゃ、もっと鳴けよ? いくら声出したって大丈夫だぜ。オレたち以外、ここにゃ誰もいねーから」

 しばらくその悪戯が続くと、氷は溶けて水になってすべて無くなり、のシャツを濡らした。汗で、水で、布地が素肌に張り付いている。しかし、の乳首は痛いほどに突き出して、シャツの下からホルマジオの指先を誘い続けていた。氷を掴んでいた彼の指先は、今度は誘ってきたそれをつまみ上げる。

「っ、んあっ」
「好きなのか? 乳首いじられんの」
「あっ、あっ、はあっ、ん」
「好きらしいな? んん……たまんねーぜ、。お兄さんのおちんちんが、おまえの尻の近くで大きくなってんの、わかるかァ? ……おまえのせいだぜ。こんなんなってんのはよォ」
「ん、ごめん、なさいっ……もう、許して」
「おいおい、何も許してやることなんかねーよ。ただ、責任取ってくれりゃあ……それでいいんだ」
「責任、取りますっ、ん、だからあっ、あっ……おしっこ、させて。もう、ダメ、出ちゃう、出ちゃうの」
「だから、ほら……我慢すんなって」
「見ないでぇっ」

 乳首をもてあそんでいたホルマジオの指先が、そろそろと下へ向かっていく。あろうことかその指先は、ぱっくりと割れたの秘部へと滑り込んでいった。

「あっ、ダメダメ、いや、出ちゃう、出ちゃうんっ」
「ああ……もう、こんな……ぐっしょぐしょに濡らしてんのか。やらしいおマンコだなァ……。何期待してる。指か? それとも、オレの……バッキバキになった勃起チンポか?」

 淫猥な言葉を浴びせられ、限界に近い尿道付近を弄ばれる。腰も砕けて、いよいよ何もかもがどうでもよくなる、そんな時に、さらに追い打ちをかけるような刺激が与えられる。のヴァギナから溢れ出た体液を纏ったホルマジオの中指と人差し指が、クリトリスを撫で始めたのだ。

「――っ、んあ」

 ビクンと一際大きく揺れたの体。その後から、呼吸は浅く早く、上下する胸の動きも早くなった。

「あ、あ、あふっ、ん、だめ、ダメダメ、やめて、お願い」

 脚に力が入り、つま先がぴくぴくと痙攣したように動く。蜜壺の入口やクリトリスをいじるのとは逆のホルマジオの手が、リラックスしろと言うように、そろそろと太ももの内側を下から擦る。ゾワゾワとした感覚が背筋を駆け上がって、力が抜けていく。

「ん、んあ、やっ、やっ、いやいやいや出ちゃう、出ちゃう出ちゃうおしっこ、ダメ、ガマン、でき、な……っあ、いやっ」
「クリトリス、気持ちいいんだろ。ほら……チンコみてーに、充血して、ふくれて……上からでもよく見えるくらい、大きくなっちまってる。……ああ、コリコリ触るたんびに、おまえがぴくぴくしてんのが分かる。……かわいい、かわいいぜ、
 
 クリトリスを優しく刺激する、上下するホルマジオの指の動きが段々と早くなっていく。無論、彼にの願いなど叶えてやる気は微塵も無い。全て彼の欲を煽るBGMに変換されている。

「あーやっべえ、おまえのおまんこ、とろっとろでぐっしょぐしょで……触ってるだけでもトびそうだっ。んんっ、ここにオレの猛り狂ったチンポぶっこんだら、どーなっちまうんだろうなァ? ……ほうら……おまえの背中に、感じるだろ? オレのチンポが、今か今かとおまえのとろっとろになったびしょ濡れマンコにぶっこまれんのを後ろで待ってんのを。だから……さっさとおしっこ出しちまえよ」
「――あ、ああっ、はっ、は、はうっ、あ、ごめん、なさい……ん、んあ、ああっ、あっ、ふあっ、あああっ!!」

 とうとう我慢が効かなくなり、熱い尿が勢いよくジョボジョボと音を立て、岩場の潮溜まりに落ち始めた。

 長い、あまりにも長い、にとっては拷問のような時間、ホルマジオは片時も目を離さず、彼女が尿道から全てを出し切るまでを見届けた。

「よおーくできました。ほかほかおしっこ、いーっぱい出せたな」

 放心状態だ。羞恥心より、開放感と虚脱感がを支配していた。恥を晒した後になっても、ホルマジオの体の上から退ける気など起きなかった。夢と現実の間で揺蕩うような顔で、ただ、熱く濡れた背中を彼の胸から腹にかけて預ける。

「さ、きれいきれいしましょーねー」
「っ!!」

 しかしホルマジオには、を休ませる気は無いらしい。いつの間にか蓋を取られていた紙コップの口が彼女の恥骨のあたりにあてがわれていた。そうと気付いたそばから、尿道口を濯ぐように氷入りのソーダを注がれる。

「つっ――」

 敏感になったところは、ひとつひとつソーダの気泡が弾け飛んでいくのまでを感じ取る。
 
「後は……オラっ」
「んんっ!」
「まだ出んだろ……? 潮ふいとけよ。したら、もっときれいに出来るぜ?」

 いきなり中指と人差し指の二本を同時にヴァギナの中へと突き入れられる。すぐさま、体液を掻き出すような激しい出し入れが始まった。

「あったかくって、ザラっザラしてて、オレの指に、おまえのえっちな汁が纏わりついて……ああ……サイッコーに気持ちよさそうだぜ、。たまんねー。さっさとオレのチンポ……ここで楽にしてやりてぇッ」
「あ、なん、でっ……へんっ……! さっき、おしっこ、いっぱいしたのにっ、また……出そ……んあっ」

 容赦なく、的確に、ホルマジオの指はのイイところに刺激を与える。膀胱にほど近いところにあるなにかがタプタプとしてくるのを感じる。そしてついには、さっきまで散々こき使っていたからなのか、外尿道括約筋は一切仕事をせず、尿道から溢れ出てきた透明の水が、じわじわとホルマジオの手のひらをしとどに濡らしはじめた。

「あああ、なに、これぇ」
「おお、出た出た。……おまえ、感度いいのなァ。かわいい、かわいいぜ、。ははっ……見てみろよ。オレの手、おまえの潮でびっしょびしょに濡れちまった……」
 
 てらてらと光る手をじっと見ると、ホルマジオの視線はの股座に落ちた。彼女の耳元で喉仏が動いて、ゴクリと喉が鳴るのが聞こえた。
 
「なあ、味見させてくれよ。……おまえの、すけべなぐしょ濡れマンコ」

 返事もしないうちから、ホルマジオはをゴツゴツした岩に寝かし始める。熱い岩に背中を預けさせ、脚を開かせたまま間に身を収めるなりの股座に口元を寄せ、舌を伸ばしてクリトリスを舐り上げた。は反射的に、両手のひらでホルマジオの頭を押し退けようとした。

「汚いよ、やめてっ」
「汚かねーよ」
「おしっこ、洗ってない」
「散々っぱら洗っただろうが」
「んっ、あ、やめ、んんっ」

 上へ下へと、独立した別の生き物のように秘部を這うホルマジオの舌。熱くぬらぬらしたそれが中へ突き入れられたかと思ったら、次の瞬間には表に出て下からクリトリスを弾かれる。あまりの刺激に背は弓形に反るのに、肝心の静止する手には力が入らなくなる。

「あ、んん、はっ、はっ、ん、ん、んっ、んくっ」

 じゅるじゅると淫猥な音を立てて、ホルマジオは容赦なくの敏感なところを責め立て続けた。口をすぼめ、クリトリスを吸い上げ、たっぷり唾液を含んだ口で覆い、熱い舌が上へ下へと動いて、勃起したそれを小刻みに弾く。

「ああっ……甘じょっぱい。おまえのふいた潮と……ソーダと……マン汁と……汗が交じった……すけべな味がする。頭、やられちまいそうな……ヤミツキになりそうな……やべえ味が」

 ホルマジオは、の秘部を舐りながら、ガチガチに固くなった自分のペニスを自分の手で扱いていた。のピンク色の肉に阻まれた穴に舌先を突き入れ、円を描くように回す。温かく、ぐずぐずに濡れそぼったこの場所に、早く自分自身を埋めてしまいたい。そんなことしか考えられなくなって、自分のものを扱く手を止められなくなる寸前、彼はふと口淫をやめた。 
 
「ああ……もう、我慢の……限界だ。……なァ、

 太陽の光を遮って、ホルマジオの顔が近付いてくる。鼻先から滴り落ちる汗が、の唇を濡らす。彼女はとっさに落ちてきた汗を舐め取った。しょっぱい、ホルマジオの汗の味。汗は次から次へ、雨のようにの顔へ、体へ降り注ぐ。

 しばしの休息だ。は弾ませた息を整えながら、冷たい恵みの雨が自分の体を濡らすのを感じた。ホルマジオは悩ましげに、懇願するように、ヘーゼルグリーンの瞳でを見つめる。

 綺麗な瞳。私を求める瞳。静かに燃える、緑色の炎。

 少し落ち着いたところで再び、の胸は高鳴り始めた。期待と不安が入り交じっている。不安――これが、最後になるんじゃないかという、恐れ。

「おまえの中、入ってもいいか?」
「っ、な……なんで、私、なの」

 戻れば、カワイイ水着を来た、かわいい女の子が他にいっぱいいる。あなたなら、よりどりみどり、気に入った子を好きなだけ味見できるはず。

「何でって……好きだからに決まってんだろうが」
「フツー好きな子に目の前でおしっこさせないでしょう」
「だから、オレはフツーじゃあねーんだよ。カワイくて、好きな女を……イジメたくなっちまうタチなんだ」
「あっちの、他の子じゃダメだったの?」
「ああ? なんでそうなっちまうんだ」
「あんた、外で女食いまくっては捨てまくってるってイルーゾォが言って――んんっ!!」

 ホルマジオはの口に自身の親指を突き入れて、喋ることができないように舌を上から押さえた。動揺に、ホルマジオの瞳が揺れていた。それを見て、は少し言ってしまったことを後悔した。
 
「もういいよ。返事なんか……知らねぇ。んな悪いお口には、オレが蓋をしてやるッ。下のお口と、一緒になァッ!!」

 怒張しきった熱い塊が、鳥羽口を突き破り、一突きで奥の奥、限界まで押し込まれた。同時に、獣のような、噛み付くようなキスで口を塞がれ、舌で舌を絡め取られ、唾液が注ぎ込まれる。

「ん、んんっ……ぷ、ふぁっ、あっ、んんっ」
「ふっ、あっ……たまん、ね……ああっ!」

 ホルマジオには、亀頭がポルチオに当たっているのが分かった。内壁はうねり狭まり竿に纏わりついてくる。ただの一突きで、幸福感が、その快感が、絶頂へとホルマジオを追い立てるようだ。だが、まだ我慢が効く。

「イルーゾォが、言う事なんか……信用、すんじゃあねーよ」

 一度ゆっくり、入口付近まで抜いたペニスを、再度奥まで打ち付ける。

「ッああっ、はあ、はあっ……おまえが、アジトに来た時から、オレは……ん、くあッ!」

 の中に、その最も奥の、狭く、熱いところに自分自身を埋めたまま、ホルマジオは彼女の頬に手のひらを添えて、唇に優しく触れるだけのキスを落として言った。

「おまえを、オレの女にしたいって……そればっかり考えてたんだぜ。そんなオレが、どうやったら……その辺のよく知りもしねー女相手に、欲情できんだ」

 嬉しい。そう言葉で言うよりも先に、子宮が、膣が、反応した。途端、ホルマジオは目を見開き、喘ぐ。

「おまえ、今膣で、きゅーって……オレのチンポ、絞り上げたろ。ああっ、嬉しいぜ、。おまえも、オレのこと、好きでいてくれてたんだなァ。……なら、もっと、たっぷり、喜ばせてやるッ」
「あっ、あっ、ん、や、激し……あ、ああっ!!」

 鳥羽口からポルチオまでを一気に貫く運動は、徐々に速さを、強さを増していく。覆いかぶさるホルマジオの体からは汗が滴り落ちてきて、の顔や体の上で、彼女の汗と混じりあう。激しい破裂音を立てる結合部からは、ふたりの汗や愛液がごちゃ混ぜになったものがほとばしり、ふたりの下肢を、下腹部を濡らす。

。もう、ぐっちゃぐちゃだぜ。見てみろよ、おまえのマンコに、オレのチンポが入っていくところをよォ。やらしいと思わねーか? サイコーにえっちな絵面だぜ……。誰も見てねーとは言え、お天道様の下であんあん喘いで、オレのチンポを欲しがるおまえの姿も……ああ、たまんねぇ。ずーーーっと見てられる。ほら、もっと声出したっていいんだぜ。狂っちまえよ、完全に。ふたりで、さいっこーに気持ち良くなろうぜ……なァ?」
「あ、あ、っんあ、ん、んんっ、ん、ん、ん、好き」
「ああ?」

 は快楽に溺れる中、溺れまいと必死に浮きに捕まろうとする水難者のように、ホルマジオの腰を両足でホールドし、ホルマジオの首を掻き抱くようにして寄せた。自然との膣には力が入る。ホルマジオは唐突に襲った更なる締め付けに再度目を見開いて声を漏らした。

「好き、好き。先輩、私も……あなたを、一目見た時からっ、あなたとこうなる未来を、夢見てた」
「おい、よせ……そんな、カワイイこと言われたら、我慢が、効かなくなる」
「止めないでっ」
「あっ、やめッ」

 は自ら腰を動かし、中で止まったまま動かずにいたペニスを、その柔らかな肉壁で扱き上げた。

「待て、よせ、まだ、イキたくねーんだよッ」
「私、はやく、先輩と、一緒にイきたい。先輩が、私のおまんこで、気持ち良くなって……幸せそうな顔してるとこ、はやく見たいっ」
「そうかよ……そっちがその気なら」
「んっ!! ああっ、あ、あん、いい、きもち、いいんっ、ん、んっ、んあ、あっああっ」
「もう、加減は無しだッ」

 激しい律動が続く中で交わす口づけは、ふたりの汗と唾液が混ざり合う濃密なものだった。熱い湿った呼気がふたりの脳みそを沸かすのか、互いの体のあたたかさと快楽と、迫りくる絶頂の予感、そして愛を得た喜び以外に何も感じられなくなっていく。天然物の岩石製リクライニングチェアにはりつけにさせられたの手の甲は、そのゴツゴツした岩の表面にホルマジオの手のひらで押さえつけられていたが、痛みは感じない。快感によがり、喘ぎ、彼の手をぎゅっと握れば、言いようの無い安心感が幸福感へと姿を変え、をさらに絶頂へと追い立てた。

「あ、ああっ、もう、ダメだッ……我慢が、続かねぇッ」
「私も、ん、先輩のおちんぽっ……気持ち、良すぎて……っ、あっ、無理、もう、来ちゃい、そ……あんっ」

 ふたりのフィニッシュ・ラインはもう目の前に迫っていた。
 
「んはあっ、ふ、ふあ、私、もう……あっ――」
「ああ、あああっ、ダメだ出る、出る、イクッ――」

 ぴくぴくと不規則に蠕動する膣から、射精する寸前で抜け出したペニスは、の腹の上に熱い白濁を撒いた。シャツと一緒に素肌へ纏わりつくそれを指先で絡め取ると、は見せつけるように指を舐り上げ、舌に移った精液はごくりと喉を鳴らして飲み下した。

「おい。何えっろいことやってんだ……。ああ……まだだ。まだまだ足りねぇ」
「……え?」
「んだ。煽っといて、すっとぼけた顔してんじゃあねーぞ」
「い……いやでも。フツー1回出したら、2日間くらいかけないと溜まらないんじゃ……?」
「そりゃ、人それぞれだ。オレは、溜まりきってなくたって勃つもんは勃つし、勃ったら出る。分かったら、さっさと尻をこっちに突き出せ」
「えええっ、で、でもでも、ほら! はやく帰んないと、皆に怪しまれちゃう」
「そんときゃそん時だ。腹くくって、そのカワイイケツをオレに向けて四つん這いになれ。……どうやらおまえ、全然余裕みてーだな? おら、さっさとしろよ」

 一度萎びたはずのペニスがすでに再び怒張しきっていて、しなるようなそれはの太ももをムチのように打った。

「い、いや、イッたばっかりなのに――」

 ムチに追い立てられたは身を翻して、――要するに四つん這いになって、ホルマジオから逃げようとした。無様にも、とうの昔にショーツを剥ぎ取られた尻を敵前に剥き出しにした格好だ。
 
「そうそう。よくできましたッ」
「んあアッ!」

 もちろん逃げ果せるはずもなく、まだホルマジオの熱を、形を覚えているヴァギナに、容赦なくペニスが突き入れられた。腰はがっしりと両手で掴まれて、身動きの取りようがない。尿道や膀胱を圧迫しながらポルチオに到達しては、同じ経路で外へと向う熱い肉棒。果てて間もないには、強すぎる刺激だ。それに加えて、ホルマジオの手は腰から胸へと移り、シャツをたくし上げながらビキニトップスの下へと潜り込む。

「あっ」
「ふ、ふふ……カワイイやつだな。まーだ硬いままだったか。ほら、つねって、引っ張り上げて――」
「あ、あっ、あんっ、気持ち、いいっ」
「――つぶして、くにくにして、また引っ張って、もっと引っ張って、離してやる」
「いや、止めないで、もっと、もっと……おっぱいイジメてっ」
「しょうがねえなァ。ついさっきまで乗り気じゃなかったくせに、ワガママなオンナだ。……そういうとこもカワイイって思っちまうオレも、大概だけどな」

 ホルマジオの手のひらは乳房を下から覆い、中指だけが器用に乳首をいじった。突き上がったそれを右へ左へ揺らしたり、乳房に押し込んだり、元の位置に戻ってきたそれを掻いて撫でたり。止まない小さな快感に、のヴァギナは彼自身を小刻みに締め上げては、ホルマジオへつぶさに喜びを伝えた。

「ん、ああッ、たまん、ねー。……ダメだ、。足りねぇよ。もっと、もっとだ。オレは、おまえを感じていたい。なあ、頼む。……オレと、付き合ってくれ。ずっと、ずっと……おまえと、抱き合って、キスして、セックスして、一緒に寝てぇッ。……んで、毎朝、目が覚めた時には、おまえに……隣にいて欲しいッ」

 尻と腰がぶつかり合う音が、パンパンと岩間に響く。この、背筋を駆け脳天に抜けていくような刺激はもとより、音が、ホルマジオの声が、言葉すべてが、を悦ばせていた。
 
「ん、付き合うっ。せんぱいの、女に……なるっ。わ、私も、一緒っ……ん、んあっ、せん、ぱいとっ、もっと、もっと……ちゅーしたい。ぎゅーってしたい。えっちしたいっ。私も、今日だけじゃ、足りないよっ……ああんっ!」
「ああ、嬉しいぜ、。……おまえはもう、オレのもんだ。オレ、だけのッ……あ、アアッ――」

 ズルリと勢いよく抜けていったペニスは、今度は背中に熱い精液を吐き出した。熱い半液状のどろりとしたものが、斜面になった背中を頭に向かって駆け下りてくるのにも構わず、は満足気に、暖かな岩に片方の頬から両胸、両腕、両手のひらを預けた。すると、上になった頬に、ホルマジオの唇が吸い付いた。リップ音を立てて離れた唇は、そのまま耳元に移動し、熱っぽく囁く。

「はあ、はあ……最っ高に……良かったぜ。
「……私も」

 は起き上がり、ホルマジオの唇に自らキスをした。控えめな、触れるだけのキス。あまりの愛らしさに、ホルマジオは真正面から彼女を抱き締めた。

「可愛い奴めッ」
「先輩に、カワイイって言われるの……すごく嬉しい」
「あー……その、先輩って言うの今日でおしまいな。ヤッてる時は妙に興奮したが……おまえには、名前で呼んでほしい」

 ホルマジオは抱き寄せたの肩を押して自ら離し、彼女の目をじっと見つめた。

「ほら、練習だ。……呼んでみろ」

 の瞳は恥ずかしそうに逡巡したあと、ホルマジオの元へと戻り、顔を真っ赤にしながら、ゆっくりと言った。

「ホルマジオ。私、ホルマジオのこと、大好き」
「だ、大好き……か。たまんねーな。かわいすぎかよ、おまえは」

 真っ赤になった顔を見られまいと、ホルマジオは再びを胸へ引き戻してギュッと抱きしめた。

 胸の高鳴りが落ち着いてくるとようやく、引いては押し寄せる波の音や、ふたりを包み込むような温風、相変わらずジリジリと焦がしてくる太陽光の存在を感じた。ありのままの姿で、ありのままの自然の中で、初めて愛を交わしたふたり。

 満たされたふたりは同時に、おもむろに顔を上げ、やはり名残惜しげに口づけを交わすと、額と額を合わせて微笑んだ。

「いい加減、戻るか」
「うん」
「あーでも、また……ここに来ような。今度は、ふたりだけでさ」
「うん。楽しみにしてる」

 



 とホルマジオのふたりが海水浴客で賑わうビーチに戻った時、3人の仲間達は特段遊びに来た女と何処かへシケこむでもなく、元いた場所で日光浴を楽しんでいた。

 一時行方不明となっていたふたりの帰還。気付くなり、男たちの訝しげな視線が、ホルマジオとを撫で回す。

「こいつァ臭え」

 メローネが首から上だけをホルマジオの方へ向け、刮目して見ながら言った。はびくっと体を揺らし、後ずさってシャツのニオイを嗅いだ。

 戻る前に海水で洗ったのに。におうかな……。

 メローネは続ける。

「セックスの臭いがぷんぷんするぜッ!!」
「してきたけど」
「あ、ああ、ああああっさり認めやがってこのスケコマシがあああッ! ウソだろ、あの純粋無垢な、かわいらしいオレのを、おまえはあああッ!!」
「誰がおめーのだ!? はオレのもんだッ!! あ、おいやめ……ああッ、やめてッんん、いや、いやよイルーゾォ、そんなとこ、触らないでッ! やさしく、やさしくし――」
「気色わりい声出してんじゃあねーぞハゲ殺おおおおすッ!!! ホワイト・アルバム!!!」

 ギアッチョのホワイト・アルバムが放出する冷気で、あたり一帯がひんやりとする。それは、少し離れたところでチューチューソフトドリンクを吸い上げながら火照った体を冷ましはじめたには、ちょうどいい涼しさであった。

「ぼーっと見てねーで助けろ!!」
「いやでーす。頑張ってくださーい」

 は、愛される前にされた屈辱的な仕打ちを思い出していた。それは天罰です。

 その日の夜も更けた頃。

 男三人がかりの制裁に傍観を決め込んだは、アジトはパートナーの自室にて夜が明けるまで、ホルマジオにお仕置きと称してめちゃくちゃに愛されたのであった。



(fine)